さっき、スタイリストに怒られていたスタアシさんが目の前に立っていたので
「もしよかったらどうぞ」と缶コーヒーを渡す。
スタアシさんは要領悪くて怒られてばかりですみません。と頭をさげた。
折角、夢にちかづいたのに…
私頑張ります。
彼女は夢があるから頑張れるんだ。羨ましかった。

翌朝、今日の撮影場所へ
(無事、順調に撮影が終わりますように)と思っていたら…
また、スタイリストにスタアシさんが怒られている。
「なにやってるのよ。ダメね。あなた辞めたら?辞めて欲しいわ。」
撮影に使う用意したシャツの色が違ったらしく…スタアシさんはびくびくしていた。
「すみません。事務所側の私のミスです。違う色の方がいいかと…」
つい、こんな言葉をスタイリストに言ってしまった。
ムッとした顔つきでスタイリストは
「今回は全部こちらにまかせてくれるとの約束ですよ。あなた、寮の管理人らしいけど、腰掛け気分でやってんじゃないの!!」
私はスタイリストに頭をさげるだけ…
その場をニックンさんが見ていた。
「ミナさんはちゃんと仕事してるし、僕達には必要な人ですよ。」
(ニ、ニックンさん…)
ミスをしたことを黙っている私を見ながら首をかしげながら、今日の撮影は天気もいいので
上半身裸ではどうかと、にっこり笑う。
「いつでも、脱げる準備はしていますよ。野獣アイドルだから。」
最初スタイリストはとまどっていたが上半身裸撮影することになった。

今日の撮影が終わって私はニックンさんにお礼を言うことにした。
宿泊しているホテルに戻り、ひとりロビーにいるとあの、スタアシさんが頭をさげてきた。
「今日はありがとう。なぜ、かばってくれたの?」
「夢に向かって頑張ってるあなたを応援したかったから。」
「本当にありがとう。いつか恩返しするから。」
また、頭をさげて去って行った。

ふと、後ろから「そうだったのか」と声が…
振り向くとニックンさんが立っていた。


ニックンさんにはスタアシさんが辞めさせられるんじゃないかと思いウソを言ったことを話す。
「メンバーには…ニックンさんには迷惑をかけました。あんな風に夢を持てるのが羨ましくて…」
「ひとりで責任をとる前に僕に相談してほしかった。僕は頼りない?」
ぶんぶんと頭を振りニックンさんを頼りにしているし、信頼もしてる。
ただ、反対にニックンさんが私を信頼していないんじゃ?
なにかあったらみんなみたいに頼んで欲しい、私にはまかせられませんか?
今度はニックンさんが頭を振って…
男が女性に頼るのは失礼だと思っていたから自分のことは自分でやっていたって…
お互いの目が合って、吹き出し笑ってしまった。
これからはお互いに気を使わないようにすることにした。
「男として女性に頼りにされないのはプライドが傷つくんだよ。それに、同棲してるわけだし…
「ど、同棲って…同居です!
「同棲じゃないの?日本語難しいね。(笑)」
(ニックンさんたらわかっているのにとぼけてるんだ。)


写真集撮影が終わり、次の新曲のレコーディングをすることに
アメリカ滞在もあと少し…
ニックンさんがなにか焦っていた。
電話しながら相手に「どうにかならない?どうしても会いたいんだ。」って言ってる。
その姿を見た私はじっとニックンさんを見つめていた。


つづく…
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