「建築」に関しては恥ずかしながらほとんど知識を持ち合わせていません。
が!建築設計の仕事(構造家というそうです)をしている友人や、
有名な建築物を眺めることが好きな友人がいたりで、すぐ周りの
影響を受けてしまいがちなぼくは、最近その面白さと奥深さに
ようやく気づき始めてしまっています。
去年買ったCASA BRUTUSです。
有名な建築家たちの手による公共施設、邸宅、ビル、工場などが
その特徴、評価、歴史的背景、アクセスマップ付きで詳細に解説されています。
建築好きにはたまらない完全保存版といえるでしょう。
夏休みを利用して1箇所くらいは行ってみたいと考えていたぼくが選んだのは
阿佐ヶ谷(近い!家からバスで行ける)でした。
解体の危機に瀕している「絶滅建築」特集でとりあげられ、
ひときわ惹きつける何かがあったからです。
異国的な雰囲気溢れるこのテラスハウス、なんと南阿佐ヶ谷一帯に
232戸も密集しているんです。そのうちの174戸が、日本の誇る
モダニズム建築家・前川國男氏(初めて知りました)により設計され、
1958年に日本住宅公団により売り出されたそうです。
戦後日本の課題の1つが深刻な住宅不足でした。
前川氏は、同じく第1次大戦後のドイツで提唱された「ドミノ」と呼ばれる
工業化による安価かつ大量の住宅供給システムのモデルを日本に
持ち帰ったのだそうです。
特徴は、順番に振られたタイル張りの数字と、玄関側が1階、庭側が
メゾネットの2階建てという、その独特な建築構造と、「コモン」と呼ばれる
中庭の広さ。境界を設けず、入居者皆で緑を共有し、心豊かに暮らそう
という想いが背景にあるようです。「軽井沢の別荘」が連想されます。
そして低階層なので空が広い!
奥のほうには小さい公園と遊具(ブランコやジャングルジム)が
見えました。子供なら格好の遊び場になること間違いなし!
それぞれ雰囲気が微妙に違います。これも建築家の遊び心でしょうか。
数字のタイルの色も様々です。
4階建ての集合住宅もいくつかあります。
時間が経つのを忘れて1番から60番くらいまで全部見てしまいました。
悲しいことには、老朽化、土地の有効活用の観点から、
近い将来高層住宅に再開発されるという計画が進められているそうです。
こんな古きよき「理想的な住宅」が姿を消してしまうのは残念です・・・。