読書感想:孫子〜リーダに必要ないくつかのこと[No.119] | 起業して不安はあるもののワクワクしている50歳・IT技術者・中小企業診断士のブログ
文章長すぎ!って方は赤字部分だけお読みください。
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孫子とは約2500年ほど前に戦略家である孫武によって書かれた中国の戦術書である。武田信玄、毛沢東、ビル・ゲイツ、孫正義といった著名人が影響を受けていると言われている。戦術書といいつつ可能な限り戦わない、それはお互いを疲弊させるから、といった考えが根底になっている。今回はそんな孫子に書かれているリーダーシップについて取り上げたい。


リーダーに必要な資質として、智(智恵)・信(信頼)・仁(思いやり)・勇(勇気)・厳(厳格)の5つの性質が重要だと書かれている。


■智(智恵)
情報を収集、分析し適切な判断を下す。桶狭間での戦いにおける織田信長は相手の動きを緻密に観察することで10倍ほどの戦力を誇る今川義元に勝利した。論功行賞では義元の首を捕ったものではなく、勝利のきっかけとなった情報をもたらしたものに1番の褒美があった。戦いに明け暮れていた時代に武勇よりも情報を尊び、褒美でその重要性をメンバに発信した信長の本質を見抜く力ってホント魅力的だ。

■信(信頼)
訳の分からない駆け引きによって疲弊しないためにも信頼で相互に結ばれることが大切だ。僕は、かつて皆から信頼されたいと思っていたけど、そんなこと到底無理でウンザリしてしまったことがある。こちらの誠実さに対して、誠実さで返してくれる人とは信頼しあえるし、とことん利用してやれ、みたいな人とはそれなりの距離を置いた付き合いでいいと思っている。

■仁(思いやり)
頭ごなしに命令するだけではメンバのモチベーションは上がらす不満を抱え非効率である。リーダが思いやりを持つことで求心力が高まりリーダーを中心としたまとまりのある組織になることができる。兵士の膿を吸ってやる将軍に兵士は心酔し、命を惜しむこと無く勇敢に戦いに臨んだそうである

■勇(勇気)
敵に敢然と立ち向かう勇気ばかりでなく勝機なしとなった時に撤退する勇気も大切である。一見、勇ましいと思えた人が、自らのつまらないメンツにこだわり間違いを継続することで事態を悪化させてしまうことってよくある話だ。

■厳(厳格)
仁(思いやり)ばかりでは組織は引き締まらない。メンバのモラルを欠いた行為、怠慢、自惚れ等にたいしては厳しさをもって接しないと組織の統率は難しい。仁(思いやり)ばかりでも、厳(厳格)でもダメ。まずは仁によって相手の心を掴み、その後に厳により馴れ合いにはならないってことがいいようだ。仁→厳の順番が重要で逆になると人心掌握は難しいらしい。確かにのっけから厳しいだけの人からは心が離れてしまう気がする。

大切なことは以上の5つの特徴のバランスで、どれかが突出してしまうと、それがかえって仇となってしまう。そんな危険について5つが述べられている。

■必死は殺される
死を恐れない勇敢なものは結局殺されてしまう。兵士は貴重な財産だ。死んでしまっては元も子もない。育成にかけたコスト、時間は無に帰し、家族は悲嘆にくれることになる。会社でも根性とかでハンパない激務によって体を壊してしまうことは、会社、社員の家族、誰一人として望むことではない。ひょっとしたら狡猾なライバルにとっては望むところかもしれないけれど。

■必生は虜にされる
慎重すぎると他者のいいなりになってしまう。度を過ぎた傲慢さに対しては傷つくことを恐れずに毅然とした態度が必要な時がある。特に上ばかりみていて下は利用するみたいなメンタリティの人に対しては、このようなことが特に効果的だ。

■忿速は侮られる
気が短い人は冷静な判断を欠いて損してしまうことがある。交渉上手な人から相手をイラつかせて短絡さを引き出すことで主導権を握るというテクニックを聞いたことがある。協調を前提としないゼロサムな交渉ではこんなことを意識してもいいのかなと思う。

■廉潔は辱められる
潔癖すぎるとつけこまれてしまったりする。僕もかつてはこの傾向があった。社会に出て全くクリーンなことなんて無いし、完璧もないってことを痛感した。だから目的は手段を正当化するマキャベリズムみたいな考え方も場合によってはありだと思う。

■愛民は煩さる
情にもろいと判断に迷わされる。これも、自分に強い傾向だ。まだ僕がウブな頃、やさしさといったら聞こえがいいが、嫌われたくないがために相手に合わせるといった無理を幾重に積み重ね自分の首を締めることで、結果的にメンバやお客に迷惑をかけてしまった。2人の女性からの誘いにたいして、どちらも断ることが出来ずに2人を失ってしまう哀れな男みたいに。自分のルールみたいなものを持って、それに反するのであれば嫌われても仕方ない、そういう強さがリーダには求められると僕は考えるようになった。

最高の戦略教科書 孫子/日本経済新聞出版社


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