起業して不安はあるもののワクワクしている50歳・IT技術者・中小企業診断士のブログ

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先日、ある権威主義国で反体制の活動家が獄中で亡くなった。真意は明らかではないが、病死と報道されていた。また、別の似たような権威主義国で圧倒的な権力を握っていたリーダーとそりの合わなかったナンバー2が解任され、まもなくして亡くなった。こちらも病死と伝えられていた。中央集権的な体制国家において中央と異なる思いを主張することは時としてリスクとなる。

 

このような体制国家と似た日本の企業形態を表すJTC(ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニー)という言葉がある。おじさん達の縦の序列、つまり上位下達な組織構造によって形作られる日本の伝統的な企業を揶揄して使われる言葉だ。今は滅多に聞かなくなった「協調性」という言葉が、かつては神のように崇められていた。空気を読んで自分を全体に合わせる、そんなことを良しとする言葉である。協調性と入替に頻繁に使われるようになった「多様性」と丁度、正反対の意味を持つ言葉だ。そんな協調という名のもとに築かれる自己犠牲的な組織形態である。

 

力のある政治家に対して役人が気を利かせる「忖度」という言葉が数年前に流行した。また老練な政治家が、女性はわきまえていないから、女性の参加する会議は進行が遅くなる!そんな発言によって、その政治家は世の女性の多くを敵に回した。このような文化はまだ残っているところには、歴然と残っている。おじさんたちの密室会議(飲み会?)で決められたことは絶対で、変な意見は要らない、考えてはいけない、従順なロボットであること、つまり、おバカであることが要求される。ひょっとしてそんなふうに従順でい続けていれば、いつの日か自分達に順番が回ってきて決める側に回れるかもしれない。そのためには上には従順でないといけないし、下にはある程度、威圧的でないといけない。

 

 

日本の少子化が止まらない。2023年の出生数は75万人で、第二次ベビーブーマーである私たちの頃の約1/3である。イーロンマスクはこのままでは日本はなくなってしまう、そんなふうに表現していた。少し大袈裟な表現であるけれど、あながち嘘でもない。偉いおじさんの指示を全うし、長時間の労働で以ってその従順さをアピールするとなると、家庭が疎かになり、女性の負担が重くなる。そんなだから子供を作り、育てるインセンティブが働かない。JTCの働き方はサステナブルではない。

 

日本の生産性はOECD38カ国中30位に低迷している。おじさん達によって決められた方針に従順すぎること、つまり協調しすぎていることが影響しているように思う。今は特に答えが明確でない、過去の継続ではどうしようもない、幾度かの失敗を前提にした、確率の低い成功が求められている。さらに間違わない人はいない。そんな中、勝率を高めるには、多様性が欠かせない。だから各々が自分の声を上げていかないといけない。いつまでも協調していてはダラダラと低迷してしまう。

 

出る杭は認める

ダイキン会長 井上礼之

 

わきまえないBob Dylan