電光掲示板の最上段に「JAPAN」の文字が浮かび上がると、悔し涙を流していた入江の顔はうれし泣きに一変した。男子400メートルメドレーリレー決勝は、真っ先にゴールした中国の引き継ぎ違反により、日本が繰り上がって金メダル。1994年広島大会からの連覇を5に伸ばした。
6日間にわたって繰り広げられた38種目の最後のレースは、日本にとって絶対に落とせない種目だった。実施された過去13大会のうち、金メダルを逃したのは地元中国が優勝した90年北京大会だけ。両国のメンバーの力関係からは圧勝すら考えられた。
だが、実際は違った。アンカーの原田がそれまでのリードをはき出し、残り25メートル付近で中国選手につかまった。相手の第2泳者が明らかに速いタイミングで飛び込んだために事なきを得たが、思いもよらぬ接戦に。日本代表の平井伯昌ヘッドコーチは「選手が硬くなり過ぎて実力が出せなかった。今大会を象徴しているんじゃないかな」。有終の美を飾ったというのに、笑顔はなかった。
優勝の立役者となった第1泳者の入江は「最後の最後に日本に風が吹いた。僕が1秒以上離したから、それがプレッシャーになったのかな 」と胸を張る。確かにそうかもしれないが、“お家芸”さえも脅かされつつあるほど、中国は猛烈な勢いで力をつけてきている。