2025-051:江戸 
芍薬の咲く道江戸に生まれたら
魑魅魍魎の日々旅枕

(・・;)江戸を偲んで 吉原巡り
今も女が 泣いている

2025-052:離 
離縁して心機一転草むしり
激変の庭フロックス咲く

(・・;)心離れを 感じる夜も
あなた任せに 身を寄せる

2025-053:斉 
サルビアが一斉に咲く道を行く
子らはそれぞれ千差万別

(・・;)喧嘩別れで 秋の夜ひとり
虫も鳴き出す 一斉に

2025-054:友 
友禅の年増見返る花菖蒲
一衣帯水の構図の中に

(・・;)今もいないわ 親友なんか
恋の悩みも ないけれど

2025-055:仄 
ライラック香り仄かに心揺れ
明鏡止水とは日々無縁

(・・;)オンザロックの グラスを合わせ
恋の香りを 仄めかす

2025-056:ホール 
退院後ダンスホールの一枚の
紫蘭の葉も折れ一病息災

(・・;)ボタンホールで あなたの指が
はずしにくそで もどかしい

2025-057:姉 
姉御ぶる主客転倒した娘
だがカンパニュラ誠実の愛

(・・;)いつのまにやら 年下なのに
姉さんみたいに 世話を焼く

2025-058:殊 
ひとり住む不用不急の日々ばかり
殊更に切る紫陽花哀し

(・・;)わたしほんとは わがままなのに
殊勝な女に なった今

2025-059:随 
グロリオサお前が嫌いあいつもだ
日暮らしひとり随感随筆

(・・;)惚れた弱みね 随喜の涙
つらくされても つらくない

2025-060:暑 
花器にさす向日葵見つめ自問自答
クーラーの風避暑地にあらず

(・・;)好きよ好き好き もえすぎかしら
冷えたビールで 暑気払い

2025-061:侍 
スターチスは侍みたく凛と咲き
生殺与奪の僕に切られる

(・・;)刀あったら 侍みたく
ちょいとこの縁 試し切り

2025-062:岸 
彼岸花僕を残して枯れた地を
天変地異のように朱に染め

(・・;)岸の向こうに みそめた人と
逢うに逢えない 天の川

2025-063:貞 
昼顔の枯れても消えず絡みつく
不貞は愛と同工異曲

(・・;)あなた大好き 守るわ貞操
だけどしてよね あれやこれ

2025-064:災難 
植えた人空前絶後の災難に
早すぎた死よ咲くトリトニア

(・・;)災難だったわ 出会ったことは
だけど別れは なお地獄

2025-065:志 
求めても志大才疎の人生は
植えても枯れたアスクレビアス

(・・;)意志が弱くて 消えない欲に  
まみれもだえて しがみつく

2025-066:刈 
雑草は一進一退刈れど生え
日々草(ニチニチソウ)は我関せずと

(・・;)胸のイバラを 刈り取りできず
恨みつらみの 根を深め

2025-067:牧 
小雨去り牧場の風に露草は
軽妙洒脱に朝の挨拶

(・・;)懺悔されても 牧師じゃないし
罪な浮気を 許しゃせぬ

2025-068:崩 
我が道は世俗の闇に崩れ落ち
自由奔放の皇帝ダリアよ

(・・;)嬉し泣きした 抱かれたあの日
なのに捨てられ 泣き崩れ

2025-069:釜 
釜茹での灼熱地獄トリトマの
炎の花穂風に煽られ

(・・;)熱いキスすりゃ 分福茶釜
やがて手が出る あれがたつ

2025-070:昨 
昨夜咲く待宵草も僕もまた
朝待つ思い一日千秋

(・・;)好きよ今でも 昨年(さくねん)出会い
昨日終わった 恋だけど

2025-071:ポスト 
メールだけの時代青天白日の
ブーゲンビリアに隠れたポスト

(・・;)いつものぞくわ 郵便ポスト
手紙なんかは 来ないのに

2025-072:脇 
脇道の野薊踏めば逃避への
軽佻浮薄な旅が終わった

(・・;)脇が甘いと 言われるけれど
抱かれたいから パフュームを

2025-073:患 
まだ核がまた八月の苦患絵図
被爆焼土に夾竹桃が

(・・;)いつもやさしい あなたのキスで
恋の患部も すぐに癒え

2025-074:種 
オルレアはこぼれ種から群生し
流言飛語の世俗を隠す

(・・;)まるであなたは 種馬みたい
馬は欲しいが 種無しで

2025-075:進化 
合歓の木も僕も絶体絶命の
危機を寝ながら進化してきた

(・・;)怖い目つきね 発情したら
進化してない 雄の顔

2025-076:放 
酔い覚ます放浪気分の迷い道
一期一会のチューベローズの庭

(・・;)自分勝手に 出させはしない
先にあんたを 放り出す

2025-077:敢 
萩しずか勇敢だった意欲失せ
今は老成円熟のひと

(・・;)今日のあなたは 敢闘したわ
だけど足りない 技の数

2025-078:胴 
鶏頭の揺れて赤胴鈴之助
温故知新で日本の心

(・・;)金は増えずに なぜなぜ増える
どこが胴だか 胴回り

2025-079:偶 
人はみな去り浜茄子に偶感す
まだ夢見るか後生大事に

(・・;)会ったあの日も 偶然ならば
今日の別れも 偶然か

2025-080:洞 
空洞に桔梗一輪と逃避して
唯我独尊静寂の幸

(・・;)覗かないでよ 洞穴(ほらあな)みたく
からになりそう 心まで

2025-081:廃 
廃屋のアガパンサスは枯れもせず
栄耀栄華の想いを秘めて

(・・;)まるで廃墟ね 私の心
恋もからだも 燃え尽きて

2025-082:ときどき 
バーベナの風にときどき想う
過去ふたり抱腹絶倒した日

(・・;)好きじゃないのに ときどき好きに
なった気になる 風が吹く

2025-083:霧 
今の世に孤独に老いて五里霧中
秋海棠が僕の友だち

(・・;)夢を見ました あなたの夢を
後ろ姿は 霧の中

2025-084:典 
宿ひとり不倫相手を偲ぶ菊
香典添えて色即是空

(・・;)古典落語も この恋だって
同じオチでも 味くらべ

2025-085:砂 
アデニウム砂漠の薔薇に一目惚れ
千載一遇恋も潤う

(・・;)砂を噛むような キスしたあとは
酒かケーキか 饅頭を

2025-086:戻 
鳳仙花暴戻恣雎のこの街で
こぼれ種からまた恋が咲く

(・・;)戻りたいけど 戻れはしない
みんなわたしが 悪いから

2025-087:意味 
ペチュニアにカタツムリ見る久々に
蝸牛角上の意味思い出す

(・・;)生きる意味など ひとつもないが
酔えばごろりと 眠くなる

2025-088:明 
君の背を金木犀の香が包み
山紫水明冷えゆく別れ

(・・;)飲めば飲むほど 闇夜の涙
負けちゃだめよね 夜が明ける

2025-089:被 
赤々と咲き立ち枯れた彼岸花
被褐懐玉まだ葉を隠し

(・・;)あんた加害者 被害者わたし
なのにあんたは また責める

2025-090:級 
リタイアし死への進級待つ日々の
不得要領な朝の秋桜

(・・;)安い酒でも あなたのキスで
夢に酔わせる 高級酒

2025-091:貌 
百日紅夏から秋への変貌は
感慨無量僕も変わった

(・・;)ちょいと見た目は 美貌じゃないが
脱げば男は みな惚れる

2025-092:至 
恋破れ至理名言に出会えても
紫苑は枯れてうなだれるだけ

(・・;)冬至過ぎても 心は沈み
闇の時間が また伸びる

2025-093:アンチ  
嫁菜さえ一目瞭然に老けてゆく
あんたも無理ねアンチエージング

(・・;)年はとっても お酒と恋ね
アンチエイジング なんて無理

2025-094:毛  
萩咲けど今年の恋も毛も抜けて
一汁一菜ひとりの夕餉

(・・;)この毛だれの毛 わたしじゃないわ
知っているでしょ ないことは

2025-095:堂 
無為無聊老いて白昼堂々と
酒に溺れてコリウスの庭

(・・;)シュンとしないで どうにかしてよ
昔みたいに 堂々と

2025-096:響 
風響きガーベラ枯れる時告げて 
老若男女もさらに老けゆく

(・・;)甘い囁き 心に響き
そっと口づけ ゆれる肌

2025-097:満 
青空を見上げるよりもうつむけば
満身創痍を癒す竜胆

(・・;)不満だらけで 満足できず
いつも月さえ 欠けた月

2025-098:乏 
乏しさに大輪の菊咲かず枯れ
大器晩成の夢も消えゆく

(・・;)いやじゃないのよ 貧乏なのは
でもね心は 満たしてね

2025-099:訪 
訪ねれば才色兼備の人急死
スプレーマムの土産を献花

(・・;)待っている人 訪ねてこない
別れたい奴 抱きにくる

2025-100:改 
椿散る虚心坦懐米をとぐ
慢心の過去悔い改めて

(・・;)似合わないでしょ 改心なんて
罪も重ねりゃ 味な顔