この字は読みは?と聞かれればきっと素直に「こん」と読むだろうね。
しかし、この字飛鳥時代には「ふかきはなだ」と読まれていました。
この字は濃く青く染められた糸の色という意味なのだとか。色目としては灰汁建ての藍で染め重ねて、中干しを入れてさらに重ね染めて作り出した色なのだとか。
「縹(はなだ)」と呼ばれる色の中でも、もっとも濃い藍の色という意味なのだ。
飛鳥の頃には青みの強い色だったのだけど、紺という色は明治になる頃には「インジゴピュアー」と呼ばれるタール製の染料が入ってくることで赤みを帯びてきます。
現在の「紺」は少し赤みのある濃い青という意味になってきているようです。
この「インジゴピュアー」と呼ばれる染料は明治に「花紺」とか「茄子紺」と呼ばれる色を作り出しました。
前に書いた「青藍(せいらん)」「群青色」もこの染料によるものでした。
そのためにほんのりと赤みを帯びた青となります。
紺は飛鳥から江戸時代までは青みの最も濃い色だったんですがね・・・
紺が赤みを持ち始めたので「紺(ふかきはなだ)」は明治には別の色ということで「紺藍色(こんあいいろ)」と呼ばれるようになったんですよ。
そして、これよりも少し薄い色を「濃藍(こあい・こいあい)」と呼ぶようになりました。
では現代では?
実は染め屋では奈良時代の呼び名「深縹(ふかきはなだ)」と呼ばれています。
時代とともに名前だけではなく、色の感覚もどんどんと変遷していくものなのが面白いですよね。