信州大学繊維学部 梶浦教授からの紹介を受け

岡谷市にある、株式会社宮坂製糸所 さんを訪れました。


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こちらの工場は昭和3年に創業し、明治から昭和にかけて使われていた

諏訪式繰糸機を現在も稼働させている、全国で唯一の製糸工場です。


NHK「おひさま」のセットとして、こちらの工場の機械が使われたそうで

ドラマの中では、糸取りの指導も行ったとのことです。


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突然の訪問にも関わらず、工場の中を案内していただけることになりました。

ありがとうございます。


繭を糸にする時、使われるのが繰糸機です。

株式会社宮坂製糸所 さんでは、諏訪式繰糸、上州式繰糸の二種類があります。


諏訪式繰糸は、中国から生まれた製糸技術がシルクロードを経て

西回りにヨーロッパに伝わり、その後日本にも伝わった手法です。

フランス、イタリアの繰糸機をもとに、明治初年岡谷で開発されたそうです。


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ムラが少なく、綺麗な糸に仕上がるそう。

仕上げるのには熟練の技が必要で、天蚕はこちらの諏訪式が使われます。

主に和服用に出荷されます。


対する上州式繰糸は、シルクロードを東回りで伝わり、日本で改良したもの。

江戸時代後期頃から使われたそうです。

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玉繭という、ピーナッツのような形をした繭を混ぜ、ほぐれにくい強い糸を作ります。

紬(つむぎ)の素材として出荷され、ふすまや壁紙などにも使われるそうです。


そしてこちら(↓)が、自動繰糸(FR型小型自動繰糸)。

中国、ブラジルなどで大量生産されている生糸は、ほぼこの機械が使われているそうです。


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以前はこの機械にはセンサーがついており、うまく繰糸されなかった場合は停止します。

糸の太さは均一に仕上がるそうです。


できた糸がこちら。


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お客さんの希望に合わせて太さなどを変えるため、同じ繭からでも手触りや風合が異なります。


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工場を一通り見学させていただいた後、代表取締役 宮坂照彦様とお話しすることができました。


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工場や岡谷の天蚕の歴史について伺いました。

お話の中で、被災地で天蚕を行おうとすることに、大変興味を持って下さった反面

紡いだ糸をどのような製品にするか、よく考えなくてはならないと示唆されたように思います。


たまたま、諏訪で縄文織りをされている方が、こちらで糸を購入されており

宮坂様が紹介して下さったので、お話をすることができました。

諏訪で発掘された縄文土器に、当時の衣服の編んだ跡が残っていることが発見され

その縄文織りを再現しようとしているそうです。


おそらく宮坂様は、糸の使い方の一つとして

縄文織りの再現の話を、私たちに聞かせたかったのでしょう。


一言で「糸」と言っても、その後様々な形にすることができます。

一般的で受け入れやすい製品を作るのか、それとも一部の富裕者層向けの製品を作るのか

最終的な目標を定めないと、せっかく繭ができても意味がありません。


また、天蚕が産業として衰退していった歴史、外国産の安い糸の存在を考えると

「作って売る」ことが、一番難しいんでしょうね。


岡谷には岡谷蚕糸博物館があります。

信州大学の梶浦教授から、博物館の高林館長を紹介されていたので

次は岡谷蚕糸博物館に向かいました。