​“ひみつ集会”と万博会場で起きた事

 

 2015年に“ともだち”が暗殺されましたが、組織のメンバー達にとっては想定外の出来事でした。

なぜ誰も気づかなかったのでしょうか?

  “しんよげんの書”の内容

まず、“しんよげんの書”には「新宿で集会を開き、救世主が暗殺される」という記述があります。

 

ホクロの巡査は新宿で集会を開いたカンナを暗殺することで、上記の“しんよげんの書”の記述内容を再現しようとしました。 

【『20世紀少年』9集第10話「暗殺の時」】

 


しかし逆に自身が13番に暗殺されます。
これで「救世主の暗殺」は解決しましたが……不可解な点がありますよね。
それは「ホクロの巡査が……救世主?」という所ですね。

【『20世紀少年』9集第11話「凶弾の時」】
 

 

13番は「謎はこれで解けた」と言い、ホクロの巡査は「俺が救世主だったんだ」と言いました。

【『20世紀少年』9集第11話「凶弾の時」】

 

これによって、ともだち組織が抱えていた“救世主の暗殺”という謎は一旦の終わりを告げました。

 


ですが「新宿で集会を開く」のと「集会で救世主が暗殺される」という文章は本来別々のページです。

 

【『20世紀少年』9集第7話「しんよげんの書」】
 

 

 

「2014年、新宿の教会で集会が開かれ、そしてまた悪夢のような世界が始まるだろう」 

 

「集会で、救世主は正義のため立ち上がるが、暗殺されてしまうだろう」

 


あの日あの時、カンナが新宿の教会で共に戦う仲間を集うために開いた集会で起きた事は「新宿の教会で集会を開く」だけです。

そして実際に「集会で暗殺された救世主」は、2015年の元日に“ひみつ集会”で暗殺された“ともだち”です。
実写版だとパレードで暗殺されましたが、あれも集会といえば集会です。
 

 

つまり、ともだち組織からしたら「集会で救世主が暗殺される」という“しんよげんの書”の内容は既に終わった出来事なので、“ともだち”が暗殺されるというのは想定外の出来事だったのです。

 


16巻でフクベエの過去が描かれた際に彼は 

「彼は一度死んで蘇るだろう」
という文章が“しんよげんの書”にあると言っていました。

【『20世紀少年』16集第6話「人間以上」】


しかし現在の“しんよげんの書”にそのような記述は確認できませんし、それらしいページがある描写もありません。

もしも「一度死んで蘇る」というページがあれば万丈目や高須達はすぐに状況を理解できたはずですし、暗殺される救世主が“ともだち”だと気付けたはずです。

【『20世紀少年』14集第1話「追悼式」】

 

【『20世紀少年』15集第8話「史上最大のショー」】
 

 

 

万丈目は「万博会場で“ともだち”の遺体とローマ法王を対面させる」という自分の預かり知らぬところで動いていた予定を聞き、初めて気がついたみたいです。

【『20世紀少年』15集第8話「史上最大のショー」】

 

「あぁそうか、奴は大衆の前で復活することで神格化されるのを狙っているのか」と、何度か行なってきた“死んだふり”をしたのだと、この時までは思っていたみたいですね。

 


“ともだち”は“ひみつ集会”で暗殺されましたが、そもそもあの集会を開いたのは“ともだち”自身です。

 

 

【『20世紀少年』12集第8話「その男」】


「裏切り者である山根を手紙で呼び寄せて部下に射殺させようとしたところ、拳銃を忍ばせていた山根に逆に暗殺されてしまう」
というのは表向きで、実際は

「追い詰められ袋の鼠となっていた山根を手紙で呼び寄せ、復活するために“ともだち”を暗殺させた」
というのが真実です。
 

 

当然自分自身が暗殺されるわけにはいないので、影武者を向かわせた、という事です。

 

影武者が「こんなの予言にはないよ」と言っていましたが、これは「部下と共に山根を粛正するために派遣された」からだと思われます。

要は実写版の替え玉と同じで復活するための捨て駒にされたというわけです。

 

「万博会場で復活する」というエンターテイメント性のある“奇跡”を演出するために、“ともだち”は全てを利用していたというわけですね。

【『20世紀少年』18集第10話「聞いてはいけないもの」】

 

 まとめ

 

まとめると、

“しんよげんの書”に描かれている「新宿で集会を開く」のと「集会で救世主が暗殺される」というのは別々の出来事。

後者は“ひみつ集会”で“ともだち”が暗殺されるという事であり、万博会場で復活するという奇跡を演出するために「理科室で影武者を殺害させるように山根をけしかけた」というのが真相。


という事です。