このたび
ようやくとった
パスポート、
マネージャーに
とるように言われてから
約2年、
最初に用意した
戸籍謄本
は
6か月の期限を切らし、
今回の再チャレンジでは
今度は
住民票
が
期限すれすれ
という
ずぼらっぷり、
大学の最終年も
すでに
養成所に通っていたので
卒業旅行
などする
暇もお金も持ち合わせなく、
最近では
高校生でも
修学旅行で
海外へ行ったりするようだけれども
わが大島高校は
修学旅行
それ自体がなく、
海外経験のないまま
生きてきた
四半世紀、
いざ
パスポートを手にしてみると
放浪系
の
仕事でも来ないもんか
と
思ってみたりはするけれども、
いまのところは
公私ともに
予定もなく、
くわえて
海外へ行くのには
一抹の不安もあって、
というのは
言葉
とか
食べ物
とかいった
ことではなくて
もっと
精神面の問題で、
外の世界を
実際に
目の当たりにしてしまったとき、
もしかしたら
その場所に生きえたかもしれない自分
とか
未来において
その場所に
(あるいはその他の世界のどこかに)
生きうるかもしれない自分
なんかが
ちらついて、
しかし
とはいえ
日本には帰らなければいけなくて、
そう
きっと
帰らなければいけなくて、
国境を越えて行き来できる
自由
よりむしろ
行ったら帰らなければならない
我が身の不自由さ
の方を
思い知らされる
のに違いなくて、
帰るころには
げんなり
しているんじゃなかろうかという、
少なくとも
国内の温泉旅行
とは
違う気分の
帰路
になるであろうという
気がかりで、
もちろん
「帰らなければいけない」
のかどうかを決めるのは
自分の自由
という言い分は
成り立つわけで、
それは
先の
「自分」の亡霊たちの声
となって聞こえるはずで、
だからこそ
いっそう
悩みが大きくなるんじゃなかろうか
という、
行ってもないのに
もはや
怯え
にも似たこの感覚、
しかし
年間の
日本人海外旅行者数は
1500万を超え、
皆が
かように悩んでいるわけはない
のは当然、
早く
杞憂であった
と笑うため
早く
旅行に行けばよい
と
自覚をしつつ、
そーか
このまま
一生行かない
という手もあるか
と
まだ怯えたりする、
そんな、ボクです。
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世界の誰の邪魔もしません 静かにしてます
世界の中の小さな場所だけ あればいい
岡田惠和・井上鑑,2013,「私の世界」