いつもブログをお読み頂きありがとうございます。
本日は藤本が担当致します。
今、東京からの大阪に向かう新幹線の中で、このブログを書いているのですが、後席にお一人、通路を挟んだ左の席にお二人、酷く酔っ払った方がいらっしゃり、大声でクダを巻く、椅子を後ろから蹴飛ばす、お酒をこぼして私の靴を濡らす等、こちらの集中力を削ぐ行為をなさっています。車掌さんに注意をしてもらおうと待っているのですが、こういう時に限ってなかなか現れないので、どうしたものかと悩んでおります。普段ならエスカレートする前に「ちょっとお控えになってくださいね」と一声注意させて貰ったり、早々と席を変えたりするのですが、本日はどうしようかと悩んでおります。何故かと言えば、昨日の当ブログで、土田拠点長が「弊社ナンバーワンのジェントルマン」と私を紹介していたからに他なりません。
普段の土田さんは、私が新調したスーツを着て行った時も「そのスーツ、強そうですね!」或いは「そのスーツ、弱そうですね」としかフィードバックしてくれないので、今回の「ジェントルマン」という言葉がどんな心情で出てきたのかは不明です。もしかすると写真のコップがワイングラスだからでしょうか。でもそれは安易な発想ですし、そもそも中身は日本酒です。それとも、キャッスルさんが電車内で焼き鳥を食べようとした事を窘めたからでしょうか?でもそれはキャッスルさんしか知らない事ですし、キャッスルさんは私の注意に構わず食べていましたからね・・。と、戸惑いつつも、とは言え「ナンバーワンジェントルマン」という響きに気を良くし、「多少騒がしい酔っ払いの方であっても温かい目で見ておこう。何故なら自分はナンバーワンジェントルマンやしね。」と普段なら決して思わない様な事を思ったりしていたのですが、それが早々に席を変えるタイミングを見誤り、その間に酔っぱらい達はエスカレートという結果に繋がっているのです。ジェントルマンらしく振舞いたいという私の欲求が良くも悪くも行動に出てしまっているのですね。こういった、人から貼られたレッテルによって次第に言動や思考が変容していく事を、社会学上ではラベリング効果と呼びます。
~ラベリング効果とは~
社会学者H・S・ベッカーが構築した理論で、しばしば逸脱理論として適用される。 ある人物の特性は、その人物の行為ゆえというよりも、周囲から貼られる特定のレッテルによって決められる。 ひとたびレッテルが貼られると(ラベリング)、その人物はそのラベリングのもとにアイデンティティと行動パターンを形成するようになる、という理論。(コトバンクより引用)
元々、逸脱者は社会が形成していくものという社会学の理論で、髪を染めた少年に不良とレッテルを貼ると、その少年は不良らしい行動を取っていくという例え話が有名です。ゴッフマンのスティグマ論とセットで、犯罪や差別問題といった社会の病巣を語るのが本来の正しい使い方なのですが、この理論の逆説的なアプローチが最近のコーチングで活用されております。シンプルに言えば「悪いレッテルを貼ると悪くなるのなら、良いレッテルを貼れば良くなるって事だよね?」という発想です。
もう少し詳しくお話しますと、人は「本来の自分」「今の自分」「ありたい自分」という3つの自分を持っておりまして、この内「ありたい自分」に最も関心をもっています。この習性を活用して、「ありたい自分」に相応しいレッテルを、コーチがどんどん貼って行く事で、クライアントの行動変容を促進させて行く訳です。「△△するのは貴方らしくないよね、◎◎するのは貴方らしいよね」といった具合です。この◎◎が、クライアントにとって「ありたい自分」に関する事ならば絶大な効果があるのです。逆に「本来の自分」「今の自分」に関する事ならば、クライアントは耳を塞ぎやすいとの事です。ですから、優秀なコーチは、◎◎の部分が果たして「ありたい姿」なのかどうかを、質問や観察によって見極めていくのです。土田さんが私の「ありたい姿」を看過して、また、何らかの期待を込めてあの様な表現をしたのかどうかは不明です。多分、違うと思いますし、それどころか、今の私の状況を露とも知らずに、今頃ソファで猫と戯れているのでしょう。
ああ、今度は空き缶が転がって来ました。ただ、先ほどの靴がレモンチューハイで濡れた事に比べると腹が立ちません。笑顔で拾ってあげましょう。先方もやり過ぎたなときっと気付いて下さるはずです。それにもう京都に着きましたからね。新大阪まであとしばらくです。
最後までお読み頂きありがとうございます。
明日は、ほどほどに酔っぱらう事に関しては弊社ナンバーワン(とレッテルを貼ります)、中村君です。