こんにちは。いつもブログをお読み頂きありがとうございます。
今回は藤本が執筆致します。
 

image

 

前回のソリューション・キャッスル伝説が思った以上に話題となり、退職したメンバーからも本人に電話がかかってきたり、お客さまからもキャッスルさんはB型ですか?と問いかけられたりと、このブログの影響力が大きいことを実感したと共に、だいぶ抑え目に書いた私の判断は(実際はもう少しやらかしているのです。キャッスルさんは。)、やはり正しかったのだと、改めて確かめる事ができました。

さて、今回は真面目なお話をします。

最近、本棚を整理していますと、15年前に当時の部下から勧められた本が出てきました。タイトルは「若きサムライのための精神講話」。三島由紀夫さんの対談・エッセイ集です。
内容は以下の通りです。

昭和元禄と呼ばれた昭和40年代前半、学生運動(全共闘運動)が最高潮に達し、従来の日本的価値観が崩壊してゆく時代に、武士の男として非常時に備えるべく日常生活においての心構えなどを、芸術、政治、時事など社会の様々な角度から説いた書。三島が作家として書斎の思索者のみならず、自ら世の動乱に赴くことを急務とみなし「楯の会」を軸とした活動を行っていた中、「動中の静」ともいうべき平常心の姿勢で、若い男性読者に向けに「サムライ」の生き方の規範と指針を示した時事エッセイである[1]。(Wikipedia)

この本をあげるから、とりあえず読め読め読め読め、読んだ後は感想を述べよ、それであなたについていくか決めるのだ、という謎のプレゼントとオーダーとプレッシャーを頂き、仕方なしに渋々と読んで、「文体が三島由紀夫っぽくないね。」と身も蓋もない感想でメンバーを怒らせてしまった苦い思い出があるのですが、当時を懐かしみ、そう言えばキャッスルさん以外にもおかしな女性メンバーがいたなあと、もう一回パラパラとページをめくっておりましたら、面白い箇所がありました。

それは、当時100mを10秒切る選手が現れたことが話題となっている事に氏が触れて、「その選手にとって一番残酷な仕打ちとは?」対談者に問いかけている箇所だったのですが、さて、皆さんなら、どう回答されるでしょうか?

私は、選手生命を断つ様な怪我を負わせるといった残酷なことから、大切なシューズを下駄箱から隠してしまうといった地味な嫌がらせまで、色々と考えを巡らせておりましたが、そんな凡人の考えは全て外れておりまして、氏の回答としては、「一生、15秒で走ることを強いる。」というものでした。

人間にとって、持っている力を出し切れずに一生を終えると知らされる事ほど辛い事はない、にも関わらず、今の学校や会社では「ゆっくり走れ」「周りと歩調を合わせろ」「ゆっくり決められたスピードで走ることを我慢すれば、権力の座を明け渡してやる」「でも、それは君が老人になる頃だ」となっている事に、現代社会(昭和44年当時)の悲劇がある、だから若者はその不満を晴らすために学生運動をするのだ、思想に影響されているわけではないのだ、と述べているのです。

もしかすると、彼女はこのあたりに触れて欲しかったのかなと思いを馳せながら、ふと、これを就業観に置き換えると、どんな構図になるのだろうという考えが頭をよぎりました。

現在の働く人たちは、ゆっくり走らされる事に不安を感じているのか?
それとも早く走らされすぎる事に恐れを感じているのか?

恐らく、昨今のニュースの影響で、後者が多いのではないでしょうか。
具体的には「もっともっと早く走れ、走らなければ負け組ね」と煽りたてられた結果、過重労働に走らされた被害者たちがいる、そうはなりたくない、という構図で捉えている人が多いかと推察します。その中で、苦難を乗り越えた先にある達成感や一体感、自分の可能性を実感する瞬間までもが、ブラック企業の甘言だと揶揄される現在の風潮に、私は違和感を感じます。

「かつて愛国心に走らされて戦地に散った若者がいる、二度と繰り返してはならない。」
三島氏の生きた時代には、そんな考えが主流であり、郷土愛や誇りまでもが戦争の要因として一掃されようとしていた時代でした。

スケールは違えども、今、働く現場でも同じ構図が生まれています。
私は働く人を取材する機会が多く、寝食忘れて何かを達成した人に1000人以上出会ってきましたが、彼・彼女たちが洗脳されている、自己犠牲精神の塊になっているとは到底思えないのです。そんな彼・彼女たちの誇りまで、企業に踊らされた人たちとして、冷笑し奪ってしまう時代が早く過ぎ去る事を、私は望んでおり、そのためには、働く人たちが大事にしている仕事への誇りを、明確な言語化でより一層強固なものとする事や、彼・彼女たちが自分だけではなく、周囲も誇り高く何かを成し遂げようとしてるのだと知らしめ、勇気を持って頂くことが、私自身にできる若きサムライたちへの貢献なのだと、改めて腹を括ったのでした。

最後までお読み頂きありがとうございました。

 

image


次回は、今までの努力が今まさに花開こうとしている中村君です。