グラウンドで一人練習中のキャプテンつばさが蹴ったサッカーボールが、土手を歩いている俺のところに飛んできた。
ボールには黒のサインペンで広島カープの試合結果が書いてあった。
キャプテンつばさのいるグラウンドに蹴り返してあげなきゃサッカーの練習が出来ないと思ったんだけど、もうすでに新しいボールが投げ込まれていたみたいで、ドリブルをしていた。
いま蹴り返したら却って邪魔になると思い、隣りの池めがけて蹴った。
池のほとりではお爺さんが日光浴していたんだけど、雨がぽつぽつ落ちてきて、お爺さんもそろそろ帰ると言った。
その池にはほとんど水が残ってなくて、すり鉢状の地形の底にほんの僅か溜まってるだけ。
砂はサラサラで蟻地獄のような感じかな。
俺も帰ろうと思ってその蟻地獄の斜面を登るんだけど、岩が埋まっているので簡単に登ることができた。
岩は少し紫がかっていて規則正しく並んでいた。
お爺さんが教えてくれたのだけど、それは岩ではなくて、砂に埋まった昆虫の背中らしい。
カミキリムシのような昆虫で、体長3メートルぐらい。
そんな昆虫に噛みつかれたらひとたまりもない。
冬の間はこうして砂に潜って冬眠をするんだそうだ。
冬眠の最中に掘り起こしたりしないかぎり襲ってくることは無い、おとなしい虫らしい。
でも、もしも掘り起こして怒らせてしまうとガスのようなものを出して、そのガスを浴びると反撃が出来なくなるんだそうだ。
無力化される効果を持つおそろしいガスだ。
「エイセイ」という行動らしい。
怖いな、と思い、雨も本降りになってきたし早く帰ろうと電車に飛び乗った。
慌てていたせいか、ICカードをタッチせずに改札機の中に入れて詰まらせてしまった。
駅員さんに事情を話して取り出してもらったんだけど、定期入れのストラップが巻き込まれてちぎれていた。
でも、ラッシュ時間帯で駅員さんも忙しそうだったからストラップのことは諦めて、ひとこと御礼を言ってホームに向かった。
改札機の内部にはちぎれたストラップが絡まっているはずで、故障の原因になるかもな・・・って、それが気がかりだったけど。
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