前回までで、エアロロードに憧れたが金がなかったので、
代替手段としてより安くよりエアロなタイムトライアルバイクを手に入れ
実走してみた結果、思っていたのと違った
という話をしてきた。

今回は、ライダー(自分だ)のフィードバックを受けて
タイムトライアルバイクを改良し、よりエアロロードに近づけてみた
というお話をしていきます。

おさらいになるが、ロードバイクとタイムトライアルバイクを比較して
不満を持ったのが以下の点だ。

・重い。
・TTポジションが危険・ほぼ使わない。
・疲れる。
・硬い。手首へのダメージが甚大で不快。

これを解消できれば、より満足度の高いエアロロード(もどき)
が出来上がり、ハッピーになれるという寸法だ。

これを実現するには、どうすれば良いか。
考えて行きついた結論は、ハンドルをドロップハンドルに交換してみよう
という事だった。

TTハンドルは、ブルホーンバーにDHバーが付属しており、
ブレーキや変則用の各種スイッチがゴテゴテついている。
ロードバイクのドロップハンドルに比較して見た目にも実際にも重いのだ。

また、ロードバイクで多用するブラケット部分はたいていはゴムで
程よく柔らかく手にフィットするが、
TTハンドルはうっすいバーテープが巻かれているだけで
路面からの衝撃について、あまり考えている感じではない。

↓ブラケットは柔らかそう

DHバーも、休日サイクリストが街中を走る際には
危険すぎてエアロポジションなんてほぼ使えないため無用の長物だ。。

私の当初の目的は、より安くよりエアロなエアロロードを安く手に入れたい
というものであった。TTハンドルは別に必要ではないのだ。
使い慣れたドロップハンドルに交換する事で、
見た目にもエアロロードっぽい感じになるかもしれない。

そうと決まれば早速行動する事にした。

まず、必要なものを調達する。
余っているドロップハンドルがないため、ドロップハンドルを購入する必要がある。
条件はこんな感じだ。

・セカンドバイク用である事から、有名ブランドメーカーのモノでなくてよい。
・プロでもなし、そんな剛性やらなにやら気にする必要もない。
・エアロロード風にしたいので、エアロ形状が良い。
・P3はケーブル半内装なので、ハンドルも半内装できるとよい。(外装より恰好イイし)。
・重量はできるだけ軽めが良い。TTバイクは重いのでできるだけ軽くしたい。
・お値段リーズナブルだとなお良い。

この条件で最終的に購入したのは、GORIX ASANNY エアロカーボンハンドル 31.8mm/400mm 。
お値段9,999円。
まあいわゆる中華カーボンというやつですが、現状ではこれで十分だ。

ところで、ロードバイク界隈のモノの値段は、
とにかくべらぼうに高いというのが、世間一般の反応だと思う。
最近のハイエンド完成車は250万円に届こうという値段だが、
これは、自動車が買えるお値段である。

それに追随してか逆の理由か、付属パーツもどんどん高騰が進んでいる。
今回用意したハンドルバーは約1万円だが、有名メーカーのハンドルバーは
5万円とかしているのがザラだ。本当にこの流れはなんとかしてほしい。
いずれ誰もロードバイクに乗れなくなる日が来てしまうのではないかと危惧してしまう。

話がそれたが、次に、ドロップハンドルに付けるデュアルコントロールレバーが必要だ。
TTハンドルにはDI2用のシフトボタンとブレーキレバーが付いていたが、
TT用なので、それはそのまま流用はできない。
ドロップハンドル用にデュアルコントロールレバーを用意しなければならない。

今、Cervélo P3に付いているコンポはデュラエース9070Di2なので、
デュアルコントロールレバーの型番はST-9070。定価・・・左右セット63,583円
結構するなぁ、という事で資金節約のため新品の用意は早々にあきらめ、
メルカリやヤフオクを探した。
しかし状態と価格が釣り合っているものがなかなか見つからない。泣

仕方がないので、型番違いであるが、ST-R9150のデュアルコントロールレバーを
検討候補に追加した。

実は、Di2のデュアルコントロールレバーは、かなりの種類が互換性を持っている。

Di2においては、フロント変速システムとリア変速システムにとって、
デュアルコントロールレバーは単なるスイッチなのだ。
乱暴な言い方をすればオンとオフが電気信号として伝われば変速できてしまう。

シマノのE-TUBE互換表によるとST-R9150で9070系のディレーラーは、ばっちり変速可能であった。
さらに、ST-9070よりST-R9150の方が若干重量が軽いという事がわかった。
うん、もうST-R9150しかない。
メルカリを探し、きれいな状態で値段もそこそこな品をお値段34,000円で調達した。

主要な材料としてはこれで揃った。
あとは組み付けるだけだが、自分自身で作業するつもりはない。
それらはお店で注文する事とする。

ここで、ベテランローディーの方々から「おいおい、自分で組めなくてどうするんだ」
という声が聞こえてきそうであるが、そこはごめんなさい勘弁してください。

今やロードバイクはケーブル内装が標準で、一般素人サンデーライダーには
そのメンテナンスは敷居が高くてとても対応できそうにない。

ここから先は大人しくプロにお願いをしたいと思います。

という事で、次はショップにメンテナンス依頼を出すステップだ。
作業の依頼から完了まで、どういうステップで進捗し、
どのくらいのスケジュール感だったか参考のためここに記録しておく。

結果だけ記載すると、
ショップに最初に連絡をした時から、完成したバイクを受け取るまで実績として35日だった。
以下に経緯を記載しておく。

まず最初に、ショップに相談の電話を行った。
某ショップに電話をしてみたところ、
今月のメンテナンスはもう予定がいっぱいで来月の対応になるとの事。
2023年時点最近のロードバイク界隈は価格の高騰から人口が減っていると聞いていたが、
まだまだそれなりに賑わってはいるようだ。
この日は翌月のメンテナンス順番待ちの予約だけしてショップからの連絡を待つ事となった。

それから約10日後、ショップから電話で連絡があった。
自分が何をやりたいか、手元にあるパーツはどういうものがあるか簡単に説明し
来店予約を行った。一週間後の週末に来店するよう予約を行った。

そして来店当日、Cervélo P3と、調達したハンドルとデュアルコントロールレバーを持って
店舗へお邪魔した。
店舗にて、実車と部品を見ながらお店のメンテナンス担当スタッフと打合せ。
内容は、他に必要な材料や、納期などについてだ。

このとき、Cervélo P3に組付けられているコンポーネントはデュラエース9070Di2であったが、
ハンドル交換を行うにあたって、少なくともブレーキワイヤーの交換は必要になるとの事だった。

また、Di2用のエレクトリックケーブルの長さが、今のままで足りるかわからないという事だったので
ハンドルを外してみて、必要なら注文という事とした。

次に、ジャンクションAにダミープラグが必要になる事がわかった。
ジャンクションAは、電気信号の通信と制御を行う中央指示装置だ。
デュアルコントロールレバーから、変速の信号を、
フロントディレーラーやリアディレーラーなどに送信する
中央制御室みたいなもので、異なるコンポーネント間の通信と制御を担当し、
スムーズな動作と高度な機能を提供する、Di2における重要な部品だ。

↓これね

このジャンクションAには、いくつかのポートが存在し、現在、そのすべてが使用されている。
具体的には、ブルホーンバーのスイッチ2つ
(フロントUP/フロントDOWN・リアUP/リアDOWN)と、DHバーのスイッチ2つ(リアUP・リアDOWN)
からケーブルが接続されている。

今回のハンドル交換により、ポートは2つ(フロントUP/フロントDOWN・リアUP/リアDOWN)しか使わなくなる。
余ったポートは開きっぱなしだと埃や砂が入ったりして壊れるかもしれないので、
これをふさぐダミープラグを刺しておいた方がいいだろう、という事でこれも購入した。

最後に、ハンドル交換時にバーテープも巻き直すため、これも購入。

ごちゃごちゃしたが、
今回のハンドル交換において最終的に必要となったパーツと金額をまとめると以下の通りだ。

・ハンドル9,999円
・左右デュアルコントロールレバー:34,000円
・Di2用エレクトリックワイヤー×2:6,294円
・ブレーキケーブル(インナー・アウター):4,535円
・ジャンクションA用ダミープラグ:1,091円
・バーテープ:2,900円

パーツ代合計:58,819円OK

これに、工賃が必要となる。
工賃は、個々のショップや、そのお店との付き合いや、購入パーツにより異なる。
今回、私はバイクもパーツもほとんどが自前で用意して持ち込んだものである事から、
工賃は通常料金の二倍を請求してもらっている。

持ち込み依頼の是非やそれによる工賃については
商慣習やリスクに対する責任など様々な考えや意見があると思う。
ここでは特に議論しないが、個人的な意見としては、
ショップの持つ技術に対する正当な報酬として
請求金額は二つ返事でポンと支払うのが最低限の大人の振る舞いであると思う。
自分でできないのに、技術料に対して異議を申し述べるべきではない。

というわけで工賃である。
・ハンドルバー交換:10,560円
・ハンドル内装:3,520円
・フレーム内装:1,760円
・シフトワイヤー交換FD:1,100円
・シフトワイヤー交換RD:1,100円
・ブレーキワイヤ交換:3,520円

工賃合計21,560円OK

以上、ハンドル交換にかかった費用は、パーツ代+工賃で、総額80,379円となった。
思いつきの趣味の試みに80,000円もかけるなどどうかしている、
というお声が聞こえてきそうだが、ここは人生における潤いとしてお許しいただきたい。

ここまで綺麗に費用の話を書いてきたが、
ショップにバイクとパーツを持ち込んで打合せした時には、実は最終的な金額はわからなかった。

というのは、ワイヤーの長さや状態によっては元々ついているものが使えるかもしれず
どれを買い増す必要があるのかその時点では不明だったからだ。
特にワイヤー内装のバイクはそうだと思うのだが、昨今のロードバイクは、
「ばらしてみないとわからない」事が多いのである。

そのため、ショップにお邪魔した当日中に作業してもらって完成したバイクを持ち帰る
などというスピード感あふれる流れにはならないのである。
当日は、バイクとパーツをお預けして帰るだけである。
上記の金額類は、後日、メンテナンス担当のスタッフが実際にメンテナンスをしながら
電話で打合せをして最終的に決まっていった。

さて、P3を預けてから待つこと約2週間。作業完了の連絡を受け、P3を迎えにいった。

ドロップハンドルになったP3は、想像以上に精悍なエアロロードになった。
最初の印象は、キャノンデールのSystemSixみたいだなぁ、というものだった。
ゴテゴテしていたハンドル周りがすっきりし、見た目にも軽そうだ。
Cervéloのハイエンドエアロロード S5と比較しても、
空力的にはこちらの方が性能がよさそうに見える。
※重量的には完敗なのは間違いないので念のため。

こうして、私のタイムトライアルバイクは、
当初の望み通り、エアロロード(もどき)として完全に生まれ変わったのだった。