今日あった事や、演技についての悩み事を聞いてもらっている間に到着したのは
「つっ敦賀さんっ ここって…」
「ん?ファミレスだけど。」
そう、そこは私達庶民の頼もしい味方
ファミリーレストラン。
「だだだだダメですっ!敦賀さんともあろうお方がファミレスに入っては!」
気にする風でもなく車から降りようとする敦賀さんを必死で止める。
そうよ!敦賀さんには敦賀さんのイメージってものがあるんだから!
「でも、ほら。アレを見てごらん。」
そう言って指差す方を見れば
“ついに来た!ハンバーグ王国!!”
と書いてある、のぼりが…
ハ、ハンバーグ王国ですって!?
私が子どもの頃憧れていたハンバーグ王国がこんなところに存在していたなんて!
ハンバーグ国王様にご挨拶をしなくては!!
思わずハンバーグ王国に思いを馳せている私にクスクス笑いながら
声を掛けてくる。
「ね?入ってみたくない?」
「う~~~っ」
入ってみたくない訳がない。
でもでもでも!!
芸能界1いい男で、ゴージャスターの敦賀さんがファミレスなんて!
何より、敦賀さんだとわかったら
暴動が起きるわ!
ダメよキョーコ我慢するのよ、国王様にはまたご挨拶すればいいじゃない。
「いけません。ファンの方に見つかったらお店にもご迷惑がかかります。」
涙をのんで、そう口にすれば
くぅ~んと耳を垂らした黒犬が
いっぴき、にひき、さんびき…
敦賀さんの後ろに見える(ような気がする)。
そんなにハンバーグが食べたかったのかしら?
「わかりました。ではいつものスーパーに寄ってもらえますか?」
黒犬の耳がぴょこっと上がった(気がする)。
「王国とまではいきませんが、ハンバーグ一家はどうですか?私が作らせていただきます」
尻尾をぶんぶん振り回す黒犬をバックに、ふわりと笑う敦賀さんに
なんだか胸の奥があったかくなる。
誘ったのにごめんね。
と、謝る敦賀さんに恐縮しつつ
二人で作ったハンバーグは
今まで食べたどのハンバーグよりも
おいしく感じた。
