『Achillea-アキレア-』第1話
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樹(いつき)大和・男A ♂
バグロ・男B ♂
コンドゥイール・ナレーション ♂
イルマ ♀
大和「たまに夢を見るんだ。名前のわからない花の花畑の中、俺ではない誰かが誰かを探している。」
男A「はぁ…はぁ…、こんなとこで寝てたのか!」
男B「ん…。よくここがわかったな。」
男A「当たり前だ、お前はやなことがあったらすぐここに来て寝てるからな。幼馴染舐めんな。」
男B「ハハ、すまないな。」
男A「…前から思ってたけどよ、この花の名前ってなんだ?」
男B「あぁ、その花の名前はな…」
大和「ここでいつも終わる。花の名前は特に気にならないけど、あの二人は誰なんだ…」
(間)
ナレ「彼の名前は樹大和、高校生だ。数人の友人、そして家族がいる。他と大きな違いのない普通の人間だ。彼はこのまま大学に行って就職し、普通に過ごしたいと思っていたのだが…。」
大和「帰ってから何しようかな〜。山田もノリ君も今日はバイトだからなー。本屋行っていい百合本でも探すか、ねぇだろうけど。」
本屋が見えた途端フードを被った男がバッグを持ったまま本屋を飛び出していった
大和「え!?ちょ、おい!」
捕まえる気はさらさら無かったが、無意識にその男を追いかけた。
大和(なんで俺この人追ってんだ?)
路地裏に入った後も、なんとなく男を追い続けた。
大和(あぁ、やばい。ちゃんと迷わず帰れるかな…。大人しく通報するだけでよかったのに。)
途中で曲がると男はいなくなっていた。
大和「あれ、いねぇ?それに…なんだこの穴?」
後ろから蹴落とされる
大和「え?ちょっ、おおおおお!?」
(間)
コン「おい、おい少年」
大和「へ…?うわ!何だこのおっさん!」
コン「いきなりおっさん呼ばわりとは失礼だな…。私はコンドゥイール、この街の住民の一人さ。君の名前は?」
大和「…俺は、樹大和っす。この街って言ったけどここは一体?」
コン「ここは、ポトスという街だ。花の都と呼ばれる事もあるが、花だけが魅力というわけじゃない、ほら耳を澄ましてごらん。」
大和「…音楽?」
コン「そうだ。花と音楽に溢れる希望の街さ!」
大和「へー(棒)」
コン「……おっとそろそろ行かなければ。夕方になったら地図に赤い印をつけている所に尋ねるといい。あとお金だ。これだけあれば夕食には困らないだろう。」
大和「あ、どうも」
コン「では、縁があればまた会おう大和君。」
ナレ「コンドゥイールと別れた大和は、時々戸惑いながらもポトスで充実した一日を過ごした。」
大和「夕方になってきたな、そろそろ印のとこまで行ってみるか」
(間)
大和「…この地図わかりにくいんだよ!!」
地図を思いっきり叩きつけた。
大和「もう夜になったじゃねぇか!昼間はあんなに賑やかだったのに、夜になると急に静かになるし…。街灯もそんなに多いわけじゃないし…ん?」
人の気配を感じ振り向くと、一人の青年が
立っていた。
大和「…あのー?」
バグロ「お前が樹大和か」
大和「そ、そうだけど」
バグロ「死にたくないなら俺の後ろに来い。」
大和「は?それはどういう…」
バグロ「しゃがめ!」
大和「おお!?」
大和に攻撃しようとしたメリルの腕を槍のような物で払った。
イルマ「いっ、たぁ…!」
大和「な、何だ何だ!?」
バグロ「話はあとだ、まずはこいつを倒す。」
大和「倒すってあの子女の子だろ!暴力反対!」
イルマ「そーだそーだ!女の子にそんな事するのはダメなんだぞ!」
バグロ「お前あいつに殺されかけたんだぞ…?」
大和「…マジで!?」
イルマ「時間がないからさっさと終わらせてもらうね、大和君。」
ポケットからサイコロを出した。
大和「何あれ、サイコロ?」
イルマ「『リリーオブザヴァーリー』。出た目によって色んな物に変化する。あたしこういう運試し大好きなんだ。」
バグロ「それがお前の能力か。」
イルマ「そうだよ。…5か、5は槍。君のとおんなじだね。」
バグロ「時間を稼ぐ、その隙にこいつを食え。じゃないと死ぬぞ。」
大和「へ?何これ…ぎゃあっ虫い!」
バグロ「鼻をつまんで目を閉じて一気に飲み込め!」
イルマ「させないよ!」
大和「いきなり食えって言われたってな…」
バグロ「チッ…」
虫をイルマの方に投げる
イルマ「何この丸い虫?」
バグロ「吹っ飛んでろ。」
イルマ「うわっ!」
爆風に吹き飛ばされる
大和「うおぉ!?…ん?その瓶は一体?」
バグロ「いいから飲み込め!!」
大和「むぐぉ!?」
虫を大和から取り上げ虫を放り込んだ後
水の入った瓶を大和の口に突っ込み上にあげた
大和「……ゲホッ!ゲェホッ!おぇぇ…。何すんだよ!」
バグロ「お前がさっさと飲み込まないからだ。」
大和「だからってお前…。うっ!」
大和の体に異変が起きる
大和「な、何だこれ…すげぇいてぇぞ…。」
バグロ「始まったな。」
大和「ぐ…うおおぉぉぉ!」
イルマ「いたた…すごい爆風だったな…と思ったら次はすごい光が!」
大和「ゼェ…ゼェ…やっと楽になった…。で、どうなったんだ?」
バグロ「…俺と似たような形態に、変身できると思ったんだが…その…すまん…。」
大和「え?なんで謝んの?」
バグロ「あの窓で見てみろ。」
大和「うーむ……なんじゃこりゃぁぁぁあ!!?」
イルマ「どうなったの?…プッ!あっはははは!!何その姿!人型のイモムシじゃん!」
大和「人型の…イモムシ…」
バグロ「イ、イモムシでも…その…何か使える能力が…」
大和「フォローするならしっかりやってくれよ…。あの子にめっちゃ笑われてるし…死にたい。」
イルマ「あはははは…ふぅ、いやぁ久しぶりに大笑いしたなぁ!よし、笑わせてくれたお礼に今日は見逃してあげる。」
バグロ「なんだと?」
イルマ「次会うときは、こうやって戦うんじゃなくて、このサイコロで遊ぼうね。それじゃ!」
バグロ「待て、誰に雇われ…行ったか。」
大和「人型イモムシ…」
イルマ「よっと、この通信花(つうしんばな)ちゃんと安定するのかな?」
イルマ「あ、フォルトゥーナさん。新しい人の件ですが…はい、もうローズ陣営の方に…申し訳ございません…。はい、失礼します。」
イルマ「怒られちゃったな、でも面白い人に会えた。次に会うのが楽しみだね、大和君」
(間)
バグロ「落ち着いたか?ならさっさと行くぞ。色々聞きたいことがあるだろうが、それはローズさんの店に着いてからだ。」
大和「…うん」
バグロ「着いたぞ、ここだ。」
大和「………俺、未成年だけど?」
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