陽の出産と見送りが終わり、他の家族は日常に戻っていきました。
しかし私は産後休暇に入るので、この先8週間仕事はありません。
懸念していたことではあるのですが、これがキツかったです。
夫が出勤し、上の子が幼稚園に行くと家に一人です。
少し前まで感じていた胎動と、この二週間余りで体験したこと。そしてもうおなかの子は出産してこの世にいないという現実をじっくり突きつけられます。
そして定期的にフラッシュバックする火葬の時の情景。
陽はちゃんと暖かいところへ行けたんだろうか。
そんなことを考えては涙が出てくる毎日の繰り返しでした。
人によっては、体が回復していたら仕事に復帰した方が精神的に楽かもしれません。
ただ、妊娠4か月以上過ぎてからの出産の場合は、雇用側も産後休暇を取らせる義務があります。
私の場合、心はきつかったけれど、すぐに仕事に復帰して何事もなかったかのように過ごすのは違う気がしました。
だって、人一人生んでるんです。
そして、自分より先に亡くすという経験をしたわけです。
しんどくても、陽を偲びながらゆっくりゆっくり回復へのスタート地点に立つまで、やはりこの産後休暇は必要だと思いました。
何かしていないとすぐに涙が出てしまうので、陽が安心して過ごせるように、供養について調べることにしました。
夫の家は神道のため、義実家近くの神社に問い合わせをしました。
義父があらかじめ情報を入れておいてくれたため、事情は概ね把握していてくれました。
仕事上お悔やみ事に関わることも多いためか、とても寄り添って話してくれました。
しかし話を聞く限り、水子供養にあたる「御霊鎮めのご祈祷」の作法は思っていたより大変なものでした。
胎児の場合は生後50日を目途に自宅に神主さんが(あの衣装で)やってきて、自宅に簡易的な祭壇を作るとのこと。神社から遠い場合は車で送迎が必要など。
もしくは1年ほど手元で供養して、来年の誕生日以降に神社で儀式をして納骨をするという方法もあると。
・・・・なんか、違う。
せっかくいろいろ説明していただいたのですが、どちらもやる気になれませんでした。
当たり障りなく、考えますと回答した上で、
「ずっと手元に置いておくのは望ましくないのでしょうか。次の子を希望しているのですが・・」
と尋ねると、
「いえいえ、問題ありませんよ。行政上もお骨をご自宅に置いておくことに何の問題もありません。」
とのことでした。
そうか。じゃあ、うちにずっと一緒にいたらいい。
上の子は成長していつか手を離れることになるけれど、陽はずっと一緒にいたらいい。これってもしかしてお空に行った子どもがいる親の特権かも。
と思いました。ようやく、ストンと落ち着いた気がしました。
私たちが亡くなったら、義実家のお墓に入れてもらえるよう義父にお願いし、もちろん入れてくれていいよ、うちの子なんだからといううれしい言葉ももらいました。
よかった。これで陽はひとりぼっちになることはない。
少しだけ心に一筋の光が差し込んだような気がしました。