1.合気道を何故稽古をするのか。

(1)武道としては、他に剣道、空手、柔道などがあります。

それらは竹刀を持って叩き合う、手や足で攻撃する、相手を掴んで倒す、といった競技に特化したスポーツです。

そしてそ多くの方は学生時代に習って、社会人となってからは辞めています。


(2)それに対して,合気道は社会人になってから始め、その後続いていて時には数十年も稽古をしている方も少なくありません。

これは国内外を問わず同じようです。


合気道が他の武道のように勝敗を競うものでもなければ、相手を倒す事もしないというのも一つの理由だと思います。(受け身はありますが)


(3)では、一体何を目的に稽古をしているのでしょうか。


2.「健康の為」

というのが私の感想です。

(1)それならば、

「ジョギングや早足で散歩をするとか、ラジオ体操をすれば良いのでは」

あるいは

「卓球やテニスでも十分では」

と思われる人も多いと思います。


(2)しかし、かなり違います。

<ジョギング>や<散歩>、<ラジオ体操>や<卓球>や<テニス>・・・といった運動は確かに筋肉をほぐし、血行を良くし、それなりにストレスを発散させてくれます。

問題なのは、それがあくまで殆ど<筋肉>を中心とした肉体的な動きに偏っているからです。


(3)合気道は、名前のごとく<気>というものが中心になっています。

合気道の流派の中には<気の研究会>(現:心身統一合気道)(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%A3%E3%81%AE%E7%A0%94%E7%A9%B6%E4%BC%9A)

という<気>を重視するものがあります。

この流派はWikiに掲載されているように合気道の植芝開祖の一番弟子だった藤平光一先生(十段)が主宰され、野球の王貞治選手を始め、多くの著名人に影響を与えています。

それは肉体的な運動も<気>が中心とならなければならないという<教え>によるものだと思います。


(4)具体的に説明すると

スポーツではそのスポーツで必要とされる特定の筋肉を強くする事が殆どです。

例えば、柔道なら腕の筋肉、胸の筋肉、足の筋肉・・・といったようにそれぞれの筋肉を競技で使えるように増強します。


しかし、合気道で足の先から腰、上半身、腕、手のひら、といった身体の各部を通し、足先から手の先までを連動させることになります。

合気道の稽古はそのような体を通す<気>を錬磨するように稽古します。

このとき特に<腰>を中心に鍛えていきます。


自分の体については、そのような稽古をし、次に相手の動きにあわせて動く稽古をします。

このとき相手の<気>の動きや流れを体感し、それにあわせて動きます。


そういった動きに慣れてくると、相手の体に触れなくても相手を導くような動きが可能となります。

そして時には相手と一体化し、さながら社交ダンスのような動きになることもあります。

自分が相手を<強引に>引っ張ったり、<倒し>たりすることなく、相手と動く事は「筋肉に負担をかけず」に動く事になり、楽しさを感じることもあります。

それ故、海外でも年配者が稽古をしている事も多いのではないかと思います。