セックスレス、なる言葉がある。
人によってそう感じる期間は異なるようだが、日本性科学会の定義によると「特別な事情もなく1ヶ月以上、その後の長期にわたってセクシャル・コンタクトがない場合」を指すのだとか。
どのタイミングでセックスレスになるかは人それぞれなのにで一概には言えないものの、産後や長過ぎる夫婦生活でそうなることは往々にしてあるらしい。

子供を『愛しい』と思う感情が、抱きしめたり、キスしたりさせるのに、どうしてそれを夫やパートナーに出来なくなっていくのだろう。
子供と違うのは、夫(彼)は異性であると同時に長い間他人だった。遺伝子も環境も違うのに、土足でどんどんと踏み込んでいくことは到底出来ることではない。不機嫌というシャッターをおろされてしまうと、その向こう側にある気持ちを汲み取る余裕など消えてしまう。さらには「愛しい」という思いをストレートに表現することが出来ない文化にあることも起因するだろう。

言わずもがな、ハリウッド映画やアメリカンホームドラマでは男女も親子も年齢を問わず愛し合うもの同士でハグ&キスの嵐だ。
「嬉しい、ありがとう」「なんてチャーミングなんだ」という思いでハグ&キスが自然になされればその体温と抱きしめ合う腕の強さ、肌の密着度合いで相手の感情を知ることが出来る。気持ちいいと言われる強さや場所を知ることも。目は言葉よりも多くを語ると言われるように、触れ合うことは動物が織りなす最高のコミュニケーションなのだ。そう考えるとセックスは相手を知るための「大切な営み」であり、二人で造りあげる「make love」であるといえる。

ただしAVの申し子などと揶揄されるニッポン男児。
叶恭子が「日本の男性は教えてさしあげることが多くて」と言葉を濁し、だから外国男性とラブを楽しむのだと言っていた。

最近、アダム徳永という人の『スローセックス』というセックスコミュニケーションが話題になっている。オス猛々しいアダルトビデオに汚染された間違いだらけのセックスに喝を入れ、「セックスは生殖本能だけで欲情するものではなくて、男女の関係を育むのに必要な行為である」と説いている。
著者は、男性に読んでもらってナイトライフ、カップルコミュニケーションを充実させて欲しいという狙いがあったようだが、実は女性の購入も約4割りを締めるのだとか。それはセックスがまだまだオブラートに包まれ、知られざる領域であることも示しているのだろう。

ともあれ少子化に悩むニッポン。
指をくわえて「うちもレスでさあ~」と言ってる場合じゃないのである。

旦那は少しずつ禿げてくるかもしれない。
加齢臭が漂ってくるかもしれない。
寝惚けた顔が義父そっくりかもしれない。

それでもいつかは愛した男だ。

離れれば冷静になりすぎてしまうものだからこそ、コミュニケーションを続けてあばたもえくぼ、といくことが夫婦間においてはベストなのではないだろうか。


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