ちょっとピンぼけ
報道カメラマンとして名を馳せた
R・キャパのエッセイです。
偉大なる報道カメラマンも最初は貧乏でございました。
小さなビルの屋根裏でベッド一つに、
床に置かれっぱなしの電話、
有り金は5セント、
手紙は料金催促ばかり。
これが彼の出発点です。
そんな彼の元に料金催促以外の手紙が。
「ライフ」との契約。
ここから彼の報道カメラマンとしての成功物語がはじまります。
ちなみにこの本、「マグナム・フォト」のことは書かれておりません。
特に興味を引かれるのはノルマンディ上陸作戦における写真について。
本の表紙になっている写真ですね。
けっこうブレています。
文集文庫版の表紙写真は もっとブレています。
「ちょっとピンぼけ」です。
あまりの恐怖でキャパの手は震えておったのですね。
だから、そこには圧倒的な共感があるわけです。
この本には写真の講釈は書かれていませんが、
報道写真家としての彼の姿勢は
行間にたっぷりと書かれております。
ぜひ、一読を。
ダヴィット社
「ちょっとピンぼけ R・キャパ 川添浩史/井上清一訳」
文春文庫でも出ています。