古い記事-4
科学

光にも重さがある

　1995（平成9年）のニュースで、当時ビックリして残してあった。
古い記事を棄てるために引っ張り出した(ゴメン)

　光には重さはないとするのが常識だが、微小世界では「重さがある」と考えた方が
都合が良いと、東京工大・大津元一教授と山梨大・堀裕和助教授らが唱えており、
この理論を上手く使うと、数nm(nmナノメートルは十億分の一)をとらえる顕微鏡の
開発、改良に役立つと。この光をエバネッセント光(はかない光)と呼ばれる。

Fig.01.エバネッセント光
　屈折率の違うガラス板を重ねて光を入射させると、反射光と反対側への透過光が
発生する。ある臨界角度Θc で反対側には透過しなくなるが、僅だけ染み出すそうだ。
これをエバネッセント光と呼ぶ。顕微鏡観察用として2つの手法が用いられる．
1つは，光学プリズムを用いる手法であり，もう1つは，対物レンズをそのまま用いる手法

Fig.02.エバネッセント光取り出し模式図

　ヒ化ガリウム（GaAs）の微小なV字溝を持つ基盤上に有機金属気相成長法を用いて、
ヒ化アルミニウム・ガリウム(AlGaAs)系のナノ構造を形成する。平坦面の横幅Wを
1µm以下に狭くすると、発光の強度が急激に増大するが、更に約0.5µmの試料の場合、
光の50%以上が発光材料から空気中に放出されていることが判明した。
これは従来の平坦基板を用いた半導体発光材料に比べて20倍も高い効率である。

Fig.03.エバネッセント光のメカニズム

　理論解析および発光強度の空間分布測定により、上記の発光効率増大現象の
メカニズムを解明した。時間の経過にともなって、どのように伝播（でんぱ）していくか
を示すシミュレーション結果である。図(f)のt=25.55fs（fs＝フェムト秒）で最高になる。

今後は、半導体発光材料の構造の最適化を行うことによりさらに高い光取り出し効率の
実現を目指すとともに、この現象を利用した高効率半導体発光ダイオードの開発を行う
と、産総研で発表している。(2009/03/03)

Fig.04. A&B.コロナウイルスの粒子構造

　
コロナウイルスはゲノムに一本鎖（+）側RNAを持つRNAウイルスだ。
ウイルス粒子(ビリオン)は直径100nmの球形で、ウイルスとしては平均的な大きさだ。

図-A エンベロープ型ウイルスで、宿主細胞由来の脂質二重膜をビリオン最外層にまとい、
その膜にウイルス由来の外被糖タンパクであるSタンパクがびっしり刺さっている。

図-B 電子顕微鏡でビリオンを見るとSタンパクが球を冠状に取り巻いていて、
太陽のコロナに見えるためコロナウイルスと命名されている。
　TVで毎日見せられているが中身やカラーは見えない。
　　A：Fields Virology, 6th Edition、Fig.28.2Bより引用
　　B：国立感染症研究所ホームページより引用した。

新型コロナウイルス（SARS-CoV-2）は、約100 nm(ノナミリ)の球形をしている。
1mmの1/1000が1μm(マイクロミリ)その1/10が100 nm、1 mmの1/10,000程度の大きさだ。
光学顕微鏡ではみることができず、観察には電子顕微鏡を使っている。

Fig.0５．光学と電子顕微鏡の比較

新しい次を追加するね、
全反射蛍光顕微鏡　試料の表面近くだけを照らすエバネッセント光を用いた蛍光顕微鏡。
　　　　　　　　　背景光を低減できるため、１分子の単位から観察が可能。
　　　　　　　　　カラーも見えるが、高価な装置、恐らく数億円。
　　　　　分子量が60 kg/moの蛋白質の場合、2.7nm位が平均の大きさで観察できる。

◆小さい物の大きさ例：
髪の毛＝　70μm
花粉　＝　30μm
細菌　＝　 5μm
PM2.5 ＝　2.5μm = 中国から飛んでくる黄砂塵
ウイルス＝ 0.1μm = 100nm = 1mmの1/10000

◆物が見える大きさ
肉　眼ーーーー　　＝0.1～0.2mm
光学顕微鏡ーー　　＝0.2μm
全反射蛍光顕微鏡　＝2.7nm

電子顕微鏡ーーー　＝0.1nm　　　　

◆検索参考すべきURL
　① https://www.jrc.or.jp › about › topics › pdf
　　新型コロナウイルスの感染対策 - 日本赤十字社　(マンガ的)
　②神奈川県衛生研究所
　　新型コロナウイルスについて　(やや本格的)

最後まで付き合って頂き感謝いたします。