驚きの囲碁の世界(玄玄碁経)-19
四没入図(しぼつにゅうず)

文字通り、下図のい、ろ、は、に、の四ケ所から攻め手が
ない図と云う意味である。

図29-1.四没入図(変1図)

　黒❺に白⑥とツケコシしてからの変化図である。

白(56)まで全く鮮やかに仕留められています(黒、処置なし)
これは別名「押す手無し」の形です。

黒(35)でいは白(41)にキリ、黒ろ、白(45)、黒(46)、
の時白(36)にアテる妙手あって白が凌いでいる。
（この2行の文章を、対局記録メモを使い、図29-2.に示した)

図35.いろは歌(て)

　(て)で　照れ歌とは？
広野から若菜摘み　老(お)ゆ　夜　酒うまく　随喜もーー

「随喜」とは非常に難しい仏教用語であると同時に、
ここでは江戸時代、熊本の細川藩が大奥に土産物として
献上した「肥後随喜」と解釈するのが自然だ。
ここでは書けないので「肥後随喜」をググって検索下さい。

図29-2.黒(35)の変化図

　頭の良い高段者には蛇足ですが、数行上に書いた通りです。
黒は黒文字、白は赤文字(？)で示した。
黒(35)からの変化ですから、✖印で消した(35)より大きな
数字：(36)、(41)、(45)、(46)、は稚拙な点線で示しました。

上記の変化説明文を【座標】で再掲すると、
黒(35)【10、七】でい【11、五】は白(41)【９、四】にキリ、
黒ろ【10、四】、白(45)【11、七】、黒(46)【12、八】、の時
白(36)【10、五】にアテる妙手あって白が凌いでいる。

　厳しいことを言うと(35)を変化して僅か六手で黒は死んだ。

元の図29-1.四没入図(変1図)では、35から56まで二十一手も
逃げ回って()長生きした。長生きすれば良いとは言わないが、
白が間違うことだってある。

囲碁でも一手でも長生きするのが正解です。

だから(35)の変化は失敗と断じて良かろう。

囲碁と人生は非常に似たところがあると思う。