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N部長という人物

最初にその取引先のN部長を見たのは会社が別の案件で修羅場の時期で、ふらりと現れた彼に対応した当社営業のやつれた顔とは対照的なつやつやした肌と、ハワイ帰りのような満面の笑みと、”ふぅーん、いそがしいんだー。ハッハー!”との能天気な声とが印象的だった。全社員から発していた”今は忙しいから無理です!”とのにおわせを一切気にせず、自分の案件をしっかり押し付けて帰って行ったのを覚えている。


とにかくごり押しで、しかもあっけらかんと物事を進める。


自分が担当として付くことになったのはその数週間後だっただろうか。
N部長はまったくたいした人物で、部長という立場はかの会社ではプロジェクトの進行役にあたり、昇進をけって部長に留まるほど現場進行が好きだ。
いつも甲高い声でハッハーーと笑い、こちらがスケジュールや予算で厳しい状況を伝えると(いつも厳しいことを笑顔で言ってくるのだ!)それ以上に困った顔をした後ちょっと甘えた顔をし、数秒後にまた満面の笑みに戻ってハッハーと笑いながら悪いねぇー!たのむよーといったぐあい。
現場に行ってほかの業者さんなどと話しても、N部長にやられちゃったよーとみんな肩をすくめてトホホと苦笑い。この間は忙しい時期のど真中でスキーに行き骨折し、ハッハーと笑いながら松葉杖をつき他の人間を走らせていた。


最近思うのは、もしかしたらN部長のような人物こそ進行に一番適しているのかもしれないと。
こちら制作の細かい過程やスケジュールなどいちいち気にしていたら進行などできないし、請け負う立場の人間はもうN部長ならしかたがないなぁと認めてしまっているし、細かい打ち合わせは担当者同士で納得するまで行う流れになっている。
結果つつがなくプロジェクトは進行し、N部長の思うがままになっているのである。


そしてここが一番重要なのだが、
N部長はネタにされこそすれ、
なぜか誰からも恨まれてはいなさそうなのであり、つまり私もどうも嫌いになれない人物なのである。

はじめまして

今夜の天気、入夜明月蒼然・・・とはじめられなかったのは残念だけれども、言葉というものをもう一度自分の中で根の張ったものにしたくてこのブログを立ち上げた次第。


もう一度と言ってはみたものの、今まで一度だって真剣に言葉選びに悩んだことはなかったのかもしれなくて、これは裏を返せばそれだけ安易にただ意味が通じるだけのものの言い方(書き方)をしていたということで、これでは人を納得させることはできない。


これは書き方と言うよりも考え方の話で、言葉選びができていないと言うことは納得したことを話しているのか上っ面だけのことを話しているのか自分でもわかったものでなくて、結局そんな言葉に人は耳を貸さない。


反省と好奇心をこめて、文章を書くということを通して自分の考えを探り言葉にしていきたいと思います。




冒頭の入夜明月蒼然は、藤原定家は明月記からの一文。

彼は昼間うれしいこと、かなしいこと、くやしいこと、どんなことがあろうと、夜になると蝋燭の明かりのもと、独特の癖のある字で一文字ずつ、ひとり日記を綴ったのだ。

けっして人付き合いが得意でなかった彼と自分を少しだけ重ね合わせつつ。