じいちゃんの
お見舞い行ってきた
脳梗塞なってから
今は
半身麻痺で声も出んで
なんも食べれん状態なってしまった
前よりも痩せて
体あざと注射跡だらけで
顔からはいつもの憎たらしさ消えた
というより
悲しそうで不安げやった
声出んで気持ち伝えれん分、
顔に表れとる
いつも自己中で貪欲で
ばあちゃん困らせるようなことばっかして
他人の迷惑考えんし
あんな頑固なくそじじい、我が家の恥やから
本気で早くしねばいいって事件起こすたびに思った
じゃないとばあちゃんうつ病のストレスで早死にすると思った
けど
今はかわいそうに思える
ばあちゃんも
じいちゃんのこと恨んどったんに
いざ延命処置するか決めるときになったら
やっぱりばあちゃんには決めれんだ
体は前より痩せとるんに
うちの手握る力は強くなってた
リハビリでよくなったってことなんか、
うちに伝えたい気持ちとか不安が前より強くなったからなんか、
わからんけど
目が違ってた
医者さんに刃向かって
歩けんくせに
車運転して酒のんで
バイクで玄関のガラス戸に突っ込んで
階段から落ちて
骨折りたい放題やったけど
喋れる頃は
おれのこと殺せだのなんだの
意味わからんことばっか言ってたけど
でもそのほうがまし
今日のじいちゃんの目には
諦めが見えた
同じ病室のよそのおじいちゃんのベッド
片付けられたりしとるがお見舞い行くたびに何回も見てきた
あの不死身のくそじじいだって
いつでもありえる
これから週に一回は
ウィングじゃなくて
じいちゃんとこで勉強して過ごそう
いくら嫌われ者でも
誰かがちょっとでも
なんかしてあげんなん

