まあー、色々有りますわなあ。

フジ・メディアホールディングスの傘下にあるフジ・メディア・サービスが、

5/14付けでセシールの株式公開買付を発表した。


その後、同時に最近メディアをにぎわしている、第三種福祉郵便の一件で、

セシールもDM送付を行っていたという発表だ。

なんというタイミングか。


当然、買い付けにあたり、調査としてこのあたりお話も耳に入っていたかもしれない。

建前的なTOBならばの話だが。

43億。


しかし、セシールはこれまで度々、ビジネスコンプライアンスに関わる問題を発生させていた。

・JALUXから仕入れて販売していたカレーに使用していた牛肉の原産国表示のミス

⇒本来はJALUXが悪いとは私は思うが、公取から排除勧告


・子会社が不当なバックマージンを外注先から得て、利益相反で、役員減俸


・で、今回の第三種郵便だ。


立て続けにコンプライアンス違反をする企業は組織風土や社員のモラルなどを含め、本当に改善することが出来るのだろうか?


で、これについてのIRレポートを見ると


250万程度のDM費用が正規郵便費用では、2500万程度になり、残額を直ちに支払うという処理を行うが、

レポート文面の最後は、

「なお、本件による当社業績に与える影響は、現在不明でありますが、軽微であると考えられます」

過去三回もコンプライアンス違反を行い、

尚且つ今年度の業績は6億4千万の赤字

さらに2,500万弱の負担がキャッシュで出て行くが本当に軽微といえるレベルなんだろうか?

軽微という感覚を疑ってしまう。

まあ、現経営陣の着任前の事件だから、責任は無いのだろうねえ。wwww

生え抜きではないし。

起こった事を愚痴愚痴言ってもしょうがないし!ってなところかな。


ディノスの顧客は過去から都会的で、非常に良質な顧客で支えられてきた。ここに来て伸び悩みと低迷はあるが、顧客価値が高い。

変って、セシールの顧客は100円ショーツやパンストユーザー中心で、ディノスとは顧客シナジーが得られない。

カタログなどはマーチャンダイズの合体効果が得られないだろう。


物流などのコストセンターではある意味合体させることにより、集約による効果は得られるが、

購買におけるプライドの高い現ディノスの上位顧客が離反してしまう可能もある。

まあ、このロイヤリティユーザーに支えられているおかげでMDの変革が出来ず、伸び悩んでいるのかもしれない。痛し痒しだ。


随分昔の調査で今は随分内容が変化しているだろうが、

過去に通販利用経験ありの顧客2,000人をサンプリングし、買い物ニーズやファッションに関する興味などのアンケート質問回答を数量化Ⅲ類を用いてクラスター化した分析結果が面白かった。


セシールとディノスのユーザーは価格弾力性において正反対のポジションにそのユーザー平均(中心)がプロットされた。つまり購買意思決定におけるマインドが全く違う層を示した。


ディノスはセゾンダイレクト(三菱商事系デジタルダイレクトに吸収)やライトアップショッピングクラブ(旧CBSソニーファミリークラブ)など、ポジショニングされ、比較的可処分所得が高く、一都六県に在住するユーザーのポジションが浮き彫りになっていた。


それと比較しセシールユーザーは生協、ニッセン(仏のルドゥート社提携前の当時は非常に安いものを販売)と比較的リーズナブル層にポジショニングされていた。


通販企業はここ何年もロイヤルユーザーが年々持ち上がり、若返りが図れないという共通の悩みを抱えている。

すなわち固定顧客は現存する筈だ。まあ、通販に限らずだがイノベーションのジレンマが存在する。


セシールユーザーはディノスのMDは高くて買わない。ディノスユーザはセシールのMDを安物と思い、買わない。すなわち二つのMDラインを並行して走らさなければならず、集約のメリットは無い。


両社が小売業的意識をもっているのならば、合併の意思決定は無かったのではないかと思うが、小売業がユーザーイメージやブランド観点を持たず、物流やバックエンドを共有化することによる効率化だけの財務的(如何にも小売業素人的発想)発想でこれを意思決定したならば、私は長期的に両社とも低迷するのではないかと考えてしまう。

どちらも伸び悩んでいる弱り目の両社がくっつくことにより、弱い部分がさらに加速されてしまうからだ。


まあ極端な言い方をすれば、伸び悩んでいるが新宿あたりのセンスの良い百貨店がジャングル陳列のディスカウントショップと合体することを想定してみれば顧客心理が想像がつくかもしれない。


オーバーストア状態により小売業は何らかの形で、買収や合併などが今後の潮流となるのだが、ブランド面でシナジー効果が得られる買収や合併は考えられないのだろうか。


コンシューマービジネスの買収・吸収合併においては財務的側面よりもマーケティング側面を重要視する習慣を持って欲しいと私は願っている。それは顧客の印象や価値観が最も重要なビジネスであるからだ。


この感覚はお金勘定ばかりを行っている方たちには、理解してもらえない永遠のテーマかもしれない。

まあ、とにかく事業を不動産のごとく、売り買いする企業活動はまだまだ続くのだろう。