私は、かれこれ16年前ほどになるが、ロンドンにあるアパレルのブランドを日本展開するために、10日間滞在していたことがあった。
その滞在期間に、あらゆるパブを廻ることにしたのだが、その中でYe Olde Cheshire Cheese (チェシャーチーズ) という16世紀から続く伝統のパブに行ってみた。日本では味わえないその雰囲気は抜群。
店舗のファサードも大変古めかしくて、中は穴倉のように少し迷路のようになっていたのを覚えている。
イギリスの空気や湿度とここで飲むビールの味がよく合う。
さて、このパブでは、明確に人種差別(英国人は区別というかもしれないが)あるのだ。
私を含め、他にいる日本人、東洋人はあるブースでしかビールを楽しめない。他のブースはホワイトアングロサクソンおよびフランス人が占拠している部屋、その他の白人の部屋などと部屋割りが人種で決まっている。
東洋人部屋はバーテンも無愛想だ。
驚くことに、東洋人部屋にアイルランド人がいた。まあ、このアイルランド人は見るからにハイソサイティには見えなかったからなのだろうか。後ほど聞くとウィンブルドンの近くに住んでおり、ガソリンスタンドに勤めているそうだ。
私から見るとアイルランド人のイギリス人も同じに思える。まあ、歴史の勉強が足りないせいなのだが、東洋人と同じ部屋で飲んでいるのが、不思議であった。
ただ、このアイルランド人は非常に明るく、人懐っこい性格で、このパブを出た後、Notting Hill Gate駅とBayswater駅の間ぐらいにあるKahn's(カーンズ)と言うインド料理店で奢って貰ったりした。一杯ビタービールを奢ったらインド料理を奢ってくれたのだ。
明確に差別のある国で、高額所得者とは言えない人間だが、非常に明るくて経済成長しない世の中を憂いては無かった。宗教観の違いなのか。
それに比べて日本は陰湿で、暗い。金を使わなければエンジョイできなくて不幸せ!という消費幸せ的な発想過ぎないだろうか。明るく楽しく毎日を暮らす=普通に暮らすことが幸せと思うという感覚、今だから少し理解できたと思う。
まあ、これが、わからない人は皆で赤信号を渡ってください。