かれこれ、5年前ほどになりますか、ダイレクトマーケティング学会の幹事を勤めていた頃なんですが、

化粧品のダイレクトマーケティングが非常に活況を呈していました。


店販チャネルや百貨店チャネルのナショナルブランド群もこぞって参入を開始していました。


しかし、広告の投入戦略をミスし、なかなかCPOが効率化しない。

初期獲得コストは、6,000円台~20,000円台にまで様々ですが、なかなか継続率が高まりません。


そこでリビング新聞社のサラダプロジェクトのサンプリングモニター調査を行うことにしました。


・現在使用している化粧品ブランドと継続使用意向

・過去に使用したことのある化粧品ブランド

・興味のある化粧品ブランド

・価格に関するイメージ

・よく購入するチャネル

・各化粧品メーカーのイメージ(形容詞の選択と自由回答)


これらをテキストマイニングを行い、結果のグルーピングと年齢層、購入チャネルをクロスし、コレスポンデンス分析(2次元クロスによるクラスタリング分析)を行ったところ、見事に


・絶対に化粧品は通販で購入しない層

・店販・コンビニなどで適当に購入するこだわりの無い層

・通販をよく利用している層

・絶対海外ブランドなどを含め百貨店で買う層

など、特徴により6クラスター層が現れ、各年齢属性などにも偏りが見られる結果を得られた。


製品の特徴もさることながら、その中で通販利用層をさらに細分化すると、使用したことのあるブランドと興味を抱くブランド群がこれまた4つぐらいの大きなグルーピングとなって現れた。


つまり、ダイレクトマーケティングで化粧品販売のアプローチを行う場合、

・メディアチャネル

・表現コンセプト(自然派、ケミカル派、しっとり、さっぱり)

・参考とする競合

などをよくポジションとして見極めないと、全く違う層へいきなり販売するようなマーケティングや製品群を選択しても、なかなか企業ブランドが想起できない結果になってしまう。


こうなると、期待感も無く、ただ広告を垂れ流すばかりで、顧客獲得が出来ずにその事業はスクラップとなってしまう。


実は企業は根本的に奢りがあり、宣伝さえすれば売れると考えているのだ。

極端な話ではあるが、SONYがコンビニ弁当を売り出した場合、美味しいとか食べたいと思うだろうか?

あくまで極端だが、このようなマーケティングが横行している時代であった。


しかし、まだまだそういった意味で、新ブランドのコンセプトワークに精緻なサンプリングを行い、ブランドイメージにシナジーが得られるターゲティングとコンセプトを構築する企業が少ない。


ターゲットやコンセプトは、いつも後付けになってしまうのだ。

後付けで作ったブランドの1~2個の成功事例を求め、やってしまうんですね。

その裏側で98ものブランドが大失敗しているのに。


やりたいこと、やれること、競合としてポジショニングすること、販売チャネル、コミュニケーションコンセプトすべて見極めて、先ずは顧客ターゲットを選定しなければ、この同一カテゴリーに何百もブランドがひしめき合うオーバーストア状態にあって新たなブランド高速で陳腐化し、徒労に終わってしまうだろう。


いつまで繰り返すんだろうね、こんなこと。