あまり、CRMというマーケティングソリューションを取り違えて欲しくないなあという気がします・・・。


まあ、かれこれ7年ほど過去に経験したCRMで、対象はドラッグチェーンでした。

おそらく参考になる業界は多くあると思い、書くことにしました。


当時は新聞折込を止めて、ポイントカード制を導入し、DMで最来店客を促す!というのが流行っていました。

私はこの滅茶苦茶な論理構築が最初から厭で仕方なく分析を行ったんです。


この当該ドラッグストアはお決まりのRFM分析システムを導入し、ポイント数ランクにより顧客を識別するというアウトプットが既にパッケージでインストールされています。


大きな間違いはここなんです。まあ、小さな間違いは星の数ほどあったのですが、


①売上でポイント付与しています

⇒粗利益がジャンルによって違うために売上起点でポイントを付与してはいけません。粗利の少ない商品も割引の繰り延べをしてしまいます。しかし、システムが陳腐なため、粗離算出まで瞬時に計算し、ポイント付与しません、というかマスター登録がややこしいために売価算出しているみたいでした。


②パッケージが陳腐なもので、集計結果のセグメント結果しか見えません。

⇒来店回数とマネタリーは相関します。同じポイントでも10回来店で1ポイントずつの10ポイントとたった1回しかお店に来ないのに大量に買い付けて10ポイントの顧客が同じステイタスになってしまいます。これはおかしい。


③もともと最寄品によるビジネス構造に対してロイヤリティがあるのか?

⇒家から近いから、通勤通学の途上にあって便利だから利用しているだけに過ぎない。ストアロイヤリティは立地によるもので、そもそもロイヤリティが判別できないのにロイヤル顧客と機械的に定義してしまう


④スーパーやドラッグなど、レジ前のちょっとした小物の売上がバカにならない

⇒この売上の増減により、店の売上増減などに影響を与える。当然、ポイントカードなどのトランザクションではなく、利用者不明であり、シェアが高い。こんな売上はDMによるものではない。


などです。ドラッグの商品等はメーカーのNBにより構成されており、言わば他人のフンドシで商売しているものであり、医薬品メーカーが画期的な商品を開発してくれないと売上がブレる業態特徴です。勘違いしてはいけません。


で、CRM運用はDM??

別にDMで来店促進しなくてもほぼ毎週利用してくれる人ですからDMのレスポンスは上位顧客が高いのは当たり前じゃないですか。折込と比較すると顧客一人当たりに到達するコストは格段DMの方が高コストなわけで・・。

昨今ではこれをローコストな携帯メールに変更して、ジャンクメールを送りつけている。


まあ、このような意味不明のCRMが横行しているのが現実です。


CRMのソリューションは毎回放っておいても利用してくれる顧客に割引を与えることではありません。

休眠する顧客の理由を探り、競合と比較して自店を何故利用するのかの強みを把握し、品切れを防止することが最大のCRMです。


しかもデータマイニングツールにより、過去の購買傾向をクラスタリングすることによって顧客が何を目的にお店を利用してくれているのか等、ニーズ判別の上で、来店促進の内容を変化させることが最善のアプローチ方法です。


また、高齢の方には、週次ルートで荷物になるトイレットペーパーやティッシュ五箱セットなどのかさばるものと同時に、高粗利のサプリメントなどをお届けしてあげるサービスなどにより、ドミナントを競合から守ることが必要です。


最終的には、ある程度高ロイヤリティの中心になっている強みジャンルにおいてオリジナル製品化の努力を行い粗利を獲得していくこと。これは非常にロット面でハードルが高いが、現在のドラッグなど品種が多い場合は、化粧品や健食などでは可能になります。


独自性を如何に、どこに構築するのか?これを明確にすれば、単なる折込、DMなどのレベルの低い話ではなくなり、戦略そのものに昇華していくでしょう。


変な安物のパッケージ顧客管理システムやCRMコンサルタントに引っかからないようにしてほしいですね。