私のようなコンサルティングのお仕事をしておりますと、

「ベンチマークすべき企業の事例の調査やヒヤリング調査」を実施して欲しい!


と言われます。

ある新規ユニットや事業を行う場合に、社内提案や稟議などで他社とのベンチマーク資料を作成するのでしょう。


BGCやマッキンゼーがSBUにおけるプロダクトポートフォリオマトリクスを作成する場合にも、ユニットの市場成長率などを軸にしますので当然、調査を行わなければならないのですが・・。


BCGやマッキンゼーなどの大手は、グローバル企業なので自社が入り込んだ他国企業の市場成長分野のデータを取得していますから、そのデータを他社のベンチマークデータとして活用するのは良し悪しは別にして容易いことです。実際行っているかどうかは分かりませんが、特定分野の市場成長率なんて、統計は政府刊行物センターやデータバンクに行っても取得できない場合もありますので短時間には策定できません。


それよりもなによりも、例えば非常に優秀なソリューションなどで、

◆トヨタの看板方式、カイゼン

◆イトーヨーカドーの単品粗離管理と棚割管理

等が挙げられますが、同じオペレーションを他の企業がまねをして導入しても失敗してしまいます。


何故なんでしょう?

このどちらもがソリューションではなく、企業文化と社員教育、風土にあると私は思います。

カンバン方式なんていうのは、現場からの工夫カイゼンであり、これはトヨタ自身の価値観を社員に啓蒙教育することにより成り立っているわけで、システムやソリューションなどの話とは次元が違います。


私が過去に勤めていた大手ダイレクトマーケティング企業も基盤が強固で売上や業績の軸ブレは少ないのですが、これは顧客に対してのパーセプションと価値観の共有を日頃から話しており、この企業でしか運用の出来ない需要予測や受注予測のシステムを持っております。この仕組みが優秀で在庫ロスや供給ロスが少ないのです。

しかしこの予測システムを真似してやろうとしても同業他社は運用が出来ません。


何故出来ないのか?それは哲学がたりないからです。

企業の存在価値を体現するための哲学がたりないのです。


企業の独自性は、企業文化と風土によって確立され、強固な手法としてアドバンテージをもたらすのです。

何故、それがいけないのか?それが良いのか?と考える哲学の啓蒙が社内に脈々と流れています。


何か言えば、「儲かる~」とか「これをやれば儲けは何倍!」とかいう人間ほど碌なことを言ってませんね。

今時、儲かるものなんかあるわけ無いでしょ?

あったら、人には教えずコソっと自分だけやってますよ。


皆さん、、「儲かる~」とか「これをやれば儲けは何倍!」には近づかず、お金よりも地道に価値や哲学を啓蒙した方が強固になりますよ。