金曜日、NHKの天気班は、突然の“竜巻”の出現で、騒然となりました。
土埃が旋回し、建物の屋根が破壊されている映像が送られてきたのです。それは、神奈川県厚木市からのものでした。
(NHKより)
映像を見ると、よく校庭に現れるつむじ風のようにも見えました。その渦巻きは、上空の雲とつながっている様子はありません。空は一部青空が広がり、雨も降っていません。ただ、その近くでは黒い雲が近づいてきたという証言がありました。一体この渦巻きは何なのでしょうか。
百聞は一見にしかずと思い、今朝現場に行って来ました。場所は小田急線愛甲石田駅から2,3キロの場所。電車を降りると、一面平坦な土地が広がっていました。
20分ほど歩いて被害のあった場所に着くと、最初に目に飛び込んできたのは一部屋根がめくれた倉庫でした。そしてその正面にも別の倉庫があり、その入り口の扉は、風で無理やり中に押し込まれていました。その横にある事務所の様なプレハブの建物は、無残にもガラスが壊され、屋根もえぐられるように一部が飛んでいました。そして、その背後にある金属製のフェンスは、見事に倒され、畑のビニールハウスも破壊、農作物も被害にあっていました。
(↑気象庁・消防庁の方々)
私が現場を見てわかったのは、数十から百メートルにわたって直線的に被害が拡がっていること、そしてトタン屋根や窓を割るほどの風、恐らくF0クラスの風が吹いたであろうことでした。
ところで、私が着いた時、現場にはカラフルなベストを着た人々が、倉庫の前に集まっていました。赤のベストを着た消防庁、黄緑色のベストは気象庁の職員の方々でした。この一際目立つ黄緑色の方々は、気象庁機動調査班、JMA-MOT。自然災害が発生した時に、被災地域の状況把握などのために派遣される気象庁の職員です。
調査班の方にお話を伺うと、周辺の住民の方の話、当時の気象状況、被害状況を総合して、調査結果をなるべく早くに発表するとのことでした。
そして、その結果が先ほど判明しました。以下は、横浜気象台が発表した現場報告の抜粋です。
平成27 年2 月13 日に神奈川県厚木市で発生した突風について
調査結果は以下のとおりです。
(1)突風をもたらした現象の種別
この突風をもたらした現象は、局地的な前線に伴う旋風と推定した。
(根拠)
・被害の発生時刻には被害地付近で活発な積乱雲はなく、雨は降っていなかった。
(2)強さ(藤田スケール)
この突風の強さは藤田スケールでF0と推定した。
この正体は「旋風」だと言っています。つまり、竜巻ではないと言っているのです。具体的には、この風が「ガストネード」ではないかという専門家の意見が出ています。
「ガストネード」とは何でしょうか。
一般的に規模が小さく、数秒から数分で消えてしまう渦で、つむじ風のように見えることがあります。ガストネードとは、ガストフロントとトルネードを掛け合わせた造語です。
ガストフロントとは、発達した積乱雲から吹き降りてきた冷風が地面に当たって広がり、それが暖かい空気とぶつかるところにできる小規模な前線です。その上にできるトルネード(竜巻)の様なものが、ガストネードです。
つむじ風とガストネードはどう違うのでしょう。
見た目は似ていることがありますが、その出来方が違います。つむじ風は積乱雲に関係なく起こります。地面が暖められることによって発生する現象です。
ガストネードは竜巻なのでしょうか。
アメリカ海洋大気庁によると、「竜巻ではない」とされています。その理由は雲にあります。竜巻は、一般的に上空の雲とつながっていますが、ガストネードは離れた所にある積乱雲によってできる点で異なるからです。
ガストネードという言葉、今年の流行語大賞にノミネートされるでしょうか?



