明日は亡き母の命日

 

明日の準備に実家を訪れた宮本宏さん夫婦は、実家の変わり果てた様子に顔を見合わせました。

 

テーブルには吸い殻があふれた灰皿。飲み残したお茶やコーヒーのペットボトル。居間の四隅にはコンビニ袋の下に雑誌や古新聞の山。ほこりを被って乱雑に積み重なっています。

その上、冷蔵庫を開けると2~3週間前に賞味期限の切れたハンバーグの上に4日前の日付のある鮭弁当などが押し込まれていました。

 

この前、宏さんが実家を訪ねたのは3ヵ月前。その日、散らかった居間を父親が留守の間に掃除を済ませたのでした。その日以後、掃除機をかけた気配もありません。

 

明日は僧侶や親戚も迎えねばなりません。大急ぎで掃除を済ませ、法事の準備を済ませた宮本さんご夫婦でした。

 

 

「親父、これからちゃんと掃除するから大丈夫だなんて言ってるけど、大丈夫かな?」

 

「そうね。お母さんが亡くなる前とは大違いね。居間もゴミまみれ。それにトイレなんて掃除しないと使えなかったわ。」

 

「やっぱり、一人にはしとけないな‥。でも、同居といってもな‥。」

 

帰りの電車の中で、宮本宏さんはため息をつきました。

 

宮本宏さんご夫婦の自宅は実家から電車で1時間。

「そんなに遠方でもない。急用ならいつでも行けるから‥‥。」

 

こんな気持ちが余計に実家と疎遠になる原因だったのかもしれません。

 

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この日から2月後、父親の宮本一郎さんは万引きをし、警察のお世話になったのです。

 

では、母親が亡くなった後、宮本宏さん夫婦がどんな対応をしておけば万引き事件は防ぐことが出来たのでしょうか?次回に整理したいと思います。

 

父親宮本一郎さんの万引き事件については、当ブログ『親の終活とその家族③』をご覧ください。