7年前に母校を訪れていた。特に用があったわけではないが、在学時の部活の顧問のところに軽く顔を出していた。その時ふと思い出したように顧問から現役生に会って話を聞いてやってほしいと言われた。断る理由もなく、しばらく待っていると一人の少年が部屋に入ってきた。

 

少し遠慮がありつつもハッキリと私に要件を言いそして、頭を下げられた。

 

部活の意義を取り戻したい、そのために登山技術を教えて欲しいと

 

その時即答はできず、断るための方便を考えていた。

私の沈黙を否定と受け取ったのか、更に頭を下げ泣きそうな声で同じことを言われた。

 

その姿にかつての自分とどこか重なるのを感じた。

私はただわかった、ただし厳しいとだけ言ったのを覚えている。

 

この時から私と彼らの少し変わった師弟関係が始まった。

それはずっと続くものだと思っていた。

 

昨日あるニュースと同じくOB会の大先輩からのメールを見るまでは

 

私はかつて先輩において逝かれた。そして、今度は後輩にもおいて逝かれた。

 

中学2年生から高校3年生までホントにいろんなことを教えた、いろんなところを登った、

くだらないことで笑い合った、時には厳しく叱った

 

まだ教えたいことだってたくさんあった、まだ話したいことだってたくさんあった

 

いつの日にか先輩や自分の育てた後輩たちと海外の山行ったり、未踏の沢の記録のための

遡行をする日を夢見ていたはずだった。

 

もうそれらが決して叶えることのできない夢だと思い知った。

 

かつての師としてできることは冥福を祈ることしかないのがひどく悲しい