司法試験の学習範囲は広大です。なので、いつも点数に直結する重要事項から勉強することが重要になってきます。このことに対する意識が低いと、得点効率が低い勉強に時間を割いてしまい、結果として重要事項に対する学習量が不足してしまいます。ぼくもそうだったのですが、受験生は、初めのほうにやることに時間や労力をたくさん割く傾向があります。これは意識して変わるものではないので、人間のこの性質を逆手にとって勉強計画を立てるのがよいと思っています。お子様ランチでエビフライをとっておくかは、個人の趣味にまかせてよいのですが、ことに司法試験の勉強においてはエビフライから食べたほうがよいとでもいったらよいかもしれません。司法試験レストランでは、食事の時間が短く区切られているので、食べずにとっておくと皿を下げられてしまいます。


これから試験まで7か月間ですが、実はやれることは限られているので、より点数に直結することに時間を割いた方が合格に近づくということです。


例えば判例学習を例にとって説明してみたいと思います。百選判例の中には、論文に出るものと、短答にでる可能性があるもの、そもそも司法試験に出題される可能性が低いものがあります。もちろん厚く勉強しなければならないのは、論文に出題される箇所です。短答に出る程度のものは、事案と判旨を押さえておけば十分です。解説を読めばためになるのかもしれませんが、それだったら論文にでる判例の解説類を読んだ方が得点効率が良いです。


どれが、論文に出るものかは、今までと解いてきた問題集でテーマになっている判例や、予備校の百選講座のランク表を活用すればよいです。多くの受験生は、実は予備校のAランク判例すら満足に抑えることができていません。Aランクを他の受験生より少しだけ高い精度で押さえていれば、司法試験合格に要求される知識水準は楽に超えてしまいます。予備校でCランクの判例は思い切って、やらないでも大丈夫です。そもそも本試験で細かい判例は聞かれないですし、仮に出ても一部を除いてはほとんどできないので、合否に影響しません。百選に載っている判例や解説を全部読みたいというのも、出題可能性があるのだから押さえておきたいという受験生心理は、非常に良く分かるのですが、合格するために効率的ではないと思います。読むの早い人は、いいですが、ほとんどの受験生は読む速度や理解するスピードは似たり寄ったりなので、全部つぶそうとすると大事なところが確実に手薄になってしまうのです。


とにかく、重要な判例、論点のうち、自分の理解が手薄な箇所から常にやっていく意識が重要です。これらの分野が点数を伸ばすのに一番効率がいいからです。問題集を解いたり、判例を読んだりするときは、「大事なものから読む」という意識を持ちたいところです。