1.はじめに
今回と次回のテーマは、特定の予備校講座についてものなので、一部の人のみに役に立つ記事ということになります。
僕が、去年とっていた予備校講座は、①LECの論文パーフェクト答練、②三倍速インプット講座、③パーフェクトプラスゼミ(工藤北斗)でした。①は、ただの答練ですので、②、③の工藤北斗先生の講座の紹介と使用方法をしていきたいと思います。
2.三倍速インプット講座
(1)講座の概要
ひとことでいえば短縮版の入門講座です。ただ、入門講座とは言っても、既に一定の知識を持っている人を対象にした講座です。僕は、未修者で今まで、予備校のインプット系の講座は利用したことがなかったのですが、ブロガーさんの記事等に触発されて、購入してみることにしました。
全体の構成としては、論文式試験における重要論点をレジュメの形式でまとめたもので、公法・刑事については、論点まとめに加えて、判例が長めに引用されています。7科目について、一通り、重要論点を総復習できるようになっており、講義も100時間程度であっという間に聞くことができます。
(2)3倍速の特徴・長所・短所
感想としては、本当に素晴らしいの一言です。三倍速の魅力としては、主に三つのポイントが挙げられます。それは、判例のあてはめを自然に学べること、速習可能であること、付属の論証集と連動していることです。
まず、判例のあてはめを学べる点についてですが、主に、刑事・公法については、これがあればロースクールの講義すら不要になるほどだとすら思いました。ロースクールで行われるような判例学習が、三倍速の中で可能だからです。受験に必要な重要判例を長めに引用してあり、判例を踏まえた具体的事実の分析能力を養うことができるようになっています。民事系は、論点中心に解説してあり、いかにも予備校本というかんじですが、公法、刑事は判例をメリハリをつけて学習することができる仕組みになっています。判例が付いているのは、主に公法・刑事なので、このメリットはこれらの科目限定ということになりそうです。
次に、速習可能な点である点についてです。三倍速はかなり、重要事項に集中したまとめがされているので、講義時間が7科目で、100時間程度と短く、しかもテキストの分量もそんなに多くありません。そのため講義を聞いて復習しても、そんなに時間がかかりません。7科目すべて聞いても1月もかからないうちに終わるのではないでしょうか。
僕もそうだったのですが、浪人生は、本試験のあと3か月も結果待ちの期間待たされ、気合が入らない状態が続きます。その間に、基本事項が抜けてしまいます。また、卒業から時間がたつと、基本的知識が劣化していってしまいます。一人で勉強していると、その劣化して穴になった部分を埋めるのはかなり大変です。3倍速インプットは、全体について重要事項を穴埋めしていくれるので、ブランクや知識の穴をなくすのに非常に役立ちました。
最後に、付属論証集との連動性もかなり優れた特徴だったと思います。僕は、3年目は、まとめノートが作れなかった科目については(刑法・刑訴・憲法)、工藤先生の付属論証集に加筆修正、余白への書き込みを加えて、自分だけのまとめ教材を作っていました。もっとも、工藤先生の論証集自体で、重要事項がほぼ網羅されていました。論証集は人が作ったものなので、自分の言葉としては、通常は使いにくく、まとめのノートにしにくい気がします。しかし、三倍速インプットは、論証集ベースに論点解説を加える形になっているので、三倍速を読むことで論証の意味を理解することができました。そのため、論証集自体は工藤先生の言葉で書かれているものの、自分の言葉に置き換えられるレベルでの高度な理解を得ることができ、そのまま論証集をまとめノートとして使うことができました。今年初めて、インプット教材として予備校本を使ったのですが、この論証集との連動性が非常に使いやすかったです。
三倍速インプットのデメリットとしては、かなり内容が圧縮されているため、法律論の理解度が一定以上に達していないと難しいということだと思います。そもそも、僕は基本書などで、今年まで法律学習を続けていたので、ほとんどの事項についてはある程度の理解を持っており、三倍速は知っていることを思い出し、憶えるのに使ったという点が否めないです。知識量が短答合格水準に達していない場合には、難しすぎる可能性がある気がします。
(3)利用法
最初は、とにかく講義を聞いて、テキストを一気に通読しました。通読には、あまり時間をかけずに、一気に基本事項を確認しながら読む感じです。
2回目以降は、論点の箇所だけ、論証集を読みながら、論点理解を深めるつもりで確認していきました。論点だけをチェックしていくので、これはものすごい速さで終わります。答練の前、模試前のなどは、三倍速をチェックしながら、すべての論証集にある論点をチェックしていきました。これは、1科目1、2日で終わるので、答練のたびに、科目全体を概観できて、基本が身に付きました。なお、3倍速のテキストを読んでも論証の意味が分からないときは、基本書や判例集も合わせて読んでいました。刑事系は、この論点ごとの全体チェックを何度もしました。
なお、民法、民訴は、3倍速を使いませんでした。自分のまとめノートがあったからです。
次回は、予備校のゼミついて書きたいと思います。