脳は、損傷場所によって症状が異なります。
通常、ヘディングで当たるオデコの部分は、
前頭前野といって『高次脳』といわれる箇所です。
何が高次かという進化の過程で人間しか持っていない思考や創造性を担う脳の最高中枢の部分だからなんです。
しかし、ヘディング脳の場合、歩行困難や手が震えてしまったりなど、身体機能の障害を起こすことも多いにあります。
生命に関わるというのは、高次脳障害というよりか、より原始的な脳の部分、
例えると低次脳障害に関わるのではないでしょうか…
低次脳障害という言葉はないですが、私は、小脳と呼ばれる部分の障害を中心に、そう例えたいと思います。
小脳の主要な機能は知覚と運動機能の統合であり、平衡・筋緊張・随意筋運動の調節などを司ります。
このため、小脳が損傷を受けると、運動や平衡感覚に異常をきたし、箸や鉛筆をうまく使えなくなるなどの精密な運動ができなくなったり
酒に酔っているようなふらふらとした歩行となるなど、体は正常 なのにまっすぐ歩けなくなることがあります。
そういう症状をみると、大脳が「有意識」を担っているのに対し、小脳は「無意識」を担っている生命により関わる部分といってもいいのかもしれません。
小脳は、脳の背面、後頭部付近にありますが、
ヘディングで、オデコにインパクトがあっても、逆に、そこの小脳部分、脳の後頭部に損傷を受けることが多いです。
前側の衝撃に負けて、脳全体が後ろに移動して背後壁面にぶつかって、損傷してしまったのではないかと考えます。
車のムチ打ち時、前からぶつかったにも関わらず、首が思いっきり、後傾(顎が上がる状態)いる姿をイメージして頂ければ良いかもしれません。
反動で衝撃が後ろにいくということです。
脳脊髄液に満たされた脳は、頭蓋骨の中で移動しいますから…
逆のパターンもあります!
先日、いらっしゃったお客様が入院していた頃、
隣のベッドの方が、病院で転んでしまい後頭部を強打してしまったそうです。
その方は、脳の前面部、前頭葉の高次脳が損傷してしまい、言語障害、記憶障害が併発してご家族を悩ませていたそうです。
ヘディングの場合は、高次の記憶や思考の問題より、より命に関わる生命の根源的、低次脳の方が危惧されるかもしれません…

