珍しい情報を見つけたので、お届けします。
数年前に始まった、ウクライナとロシアの戦争が原因で、今、世界情勢が揺れ動いています。最近ではアメリカの「核の傘」が本当に信頼できるのか? という問題にまで広がってきているようです。そのことは、日本の核武装を含む安全保障問題にも大きな影響をもたらします。
しかし、日本では殆どの人が現代の核兵器を知らないようです。日本では、核兵器に関する情報は、広島・長崎(リトルボーイ、ファットマン)の時の核兵器の情報で止まったままのようです。そこで、現代の、ミサイルなどに搭載できる、小型核兵器について私の知る範囲のことを書いておきます。
実は数年前に、英語版の Wikipedia (以下の URL) で偶然 現代の小型核兵器 の基礎情報を見つけました。 普通に公開されていました。 なので 簡単に紹介・説明をしておきます。
https://en.wikipedia.org/wiki/Swan_(nuclear_primary)
または Swan nuclear primary の文字列をコピペして、ネット検索してください。
1. 核兵器断面図
下の卵のような図が、現代の小型核兵器の断面図です。 Swan Device と呼ばれている爆縮型の原爆で、「核融合ブースト型」といわれているタイプの原爆です。これは 水爆の起爆用の原爆 として開発された小型の原爆のようです。
直径 29.5 cm、長さ 58 cm、重量 47.6 kg
( 重量は長崎型の 1/100 程度 )
爆発出力 15kton (長崎型は 20kton 程度)
▼ 中心部の、多層の丸い部分の説明。
* high explosive : 高性能爆薬(爆縮用)
* Beryllium : ベリリウム(中性子反射体)
* Plutonium239: プルトニウム(核分裂物質)
* Tritium/Deuterium : 三重水素/重水素
(核融合用燃料)
▼ 外殻部 卵の殻のような部分の説明。
* high explosive : 高性能爆薬 (爆縮レンズ用)
* 両端は雷管(点火器具)
▼ 白い色の部分は空間。
これしかありません。こんな簡単でも、確実に爆発します。参考として、長崎に投下されたファットマンと呼ばれた核兵器の、日本語の Wiki ページをリンクしておきます。ファットマンと比較すると、如何に簡素化されているかがわかります。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ファットマン#起爆過程
長崎型(ファットマン)時代の爆縮は、核分裂物質を爆薬で直接圧縮するのではなく、巨大な重石を爆薬で圧縮し、その重さで核分裂物質を圧縮し、一定時間抑え込むという事をしていました。これにより核分裂の連鎖反応の拡大が進んで、超臨界状態が持続され、大量の核分裂 = 核爆発が起こるという物でした。
しかし、この重石は著しく核兵器を重くしました。また、大きな重い物を圧縮するために爆薬も大量の爆薬が必要になり、核兵器を更に重くし、巨大化させていました。
しかし図のように、Swan Device には重石がありません。だから小型化が出来たわけです。重量は同じ爆縮型(長崎型)の 1/100 程度です。
2. 「核融合ブースト型」核兵器
戦後10年頃、「核融合ブースト」という新技術が生まれました。そして重石が不要になりました。その結果
*小型で
*簡単に作れ
*確実に爆発する核兵器(原爆)が生まれました。
こんな新技術が出来たから、北朝鮮程度の技術レベルの国でも、ミサイルに搭載できる小型核兵器が容易に作れるようになりました。
当時、米ソは核戦略拡大の競争を続けていました。そして、アメリカは、とんでもない技術を開発してしまった。もしも、この技術が流出して、あちこちで核兵器が作られて、それが自国に向かってきたら・・・
「核拡散防止条約」という条約は、自分たちで大変な物を生み出してしまったので、その後始末のために作られた、お粗末な条約に見えますが?
3. 「核融合ブースト」
その仕組み
どのような仕組みで小さく、シンプルな原爆で核爆発が起こせるのかを簡単に説明します。
Swan Device の中心部
ここは外側から、各層ごとに、以下のようになっています。
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* 高性能爆薬(爆縮用) |
一番内側が三重水素/重水素です。これは核融合用の物質です。実はこの原爆は、原爆の中心部に小さな水爆があります。
この球体を全表面から同時に点火すると、爆縮が始まり、中心部から核分裂の連鎖反応が始まります。
すると核分裂のエネルギーで、中心部にある水素の核融合が同時に始まります。三重水素と重水素の核融合では、中性子が一つ余って放出されます。
もしも核融合が無いと、核分裂で発生したエネルギーで、爆縮したプルトニウムは十分な連鎖反応が行なわれる前に飛散してしまって、十分な核爆発が起こりません。そのため、長崎型の原爆では、飛散するまでの時間を長くするために、重石で抑えて、より多くの連鎖反応を起こすという事をしていました。
しかし、Swan Device では中心部での核融合により、核分裂の連鎖反応開始と同時に多くの中性子が放出され始めるので、これにより連鎖反応が加速され、重石で抑え込まなくても、飛散する前に十分な量の連鎖反応が起こり、十分な核爆発が起こせるようになりました。
「核融合ブースト型」とは、核融合(小さな水爆)により、中性子の発生量を増加させ、それにより小さく簡単な原爆でも安定して核爆発を起こせるようにした原爆です。
Swan Device の外殻部
外殻は、爆薬で作られた卵の殻のようになっています。
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この外殻は、中心部の球体の全表面に、同時に衝撃波を到達させ、点火するための爆縮レンズになっています。 |
外殻の中は空洞です。また、その両端に雷管(点火器具)があります。この二ケ所に同時通電すると、卵の殻のような爆薬が図中の赤い矢印のように爆発してゆきます。図から判断すると、爆薬の燃焼速度は、空洞内を伝わる衝撃波よりも早いようです。
そのため衝撃波の波面は次第に球状になってゆきます。そして、中心部の球体を包み込むように、球体の全表面に同時に到達し、爆縮用の爆薬の全表面を同時に点火するようです。
以上で超特急解説の終わりです。
まちがい、わからない所など、お気づきな点があれば、コメント下さい。
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