異形の大国 中国―彼らに心を許してはならない 櫻井 よしこ | So-Hot-Books (So-Hotな読書記録)

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書評と読書感想文の中間の読書日記。最近は中国で仕事をしているので、中国関連本とビジネス関連本が主体。

★★★★☆(星4)


<My Opinion>


日本を代表する保守論客かつタカ派だけに、中国に対する姿勢も非常に強固なものを感じる。本書において櫻井氏は中国は歴史を捏造する国家であり、例えば南京事件で30万人が虐殺されたとする説は決着のついていない歴史認識問題あるにもかかわらず、中国は30万人説を一方的に主張しているとして強く批判している。


私自身も中国は歴史にとどまらず、あらゆるものを捏造する国家だという認識を持っている。中国に来て間もなく発生した9月7日の尖閣諸島中国漁船衝突事件では領土問題が存在しないはずの尖閣諸島問題を中国が「尖閣諸島は中国固有の領土」と主張して日本側の主権に基づく司法措置に強硬に抗議した。船長・船員の即時釈放を求める中国に対し、最終的には日本側が船長・船員共に釈放に応じた経緯がある。この事件を中国にいながら見ていた私は日本の弱腰外交に対してよりも、むしろ歪曲した事実を堂々と主張してくる中国に対して憤りと恐怖感を覚えたものである。


櫻井氏が良く言うのは、中国は日本の国柄を利用している、中国は「日本は押せば引く国である」との考えの下であらゆる主張を貫き通そうとする国家である。まさにその通りだと私も思う。歴史・外交問題だけでなく、ビジネスフィールドにおいてもアポイントメントの直前キャンセル、契約の無断放棄等は日常茶飯事である。しかしながら日系企業が相手に対して強攻に出たり、法的手段に出たりすることは多くなく、仮に法的手段に打って出たとしても勝ち目はほぼない。結局は日本側が中国に対して譲歩することがありとあらゆる場面で多いのである。


これは長期的に見れば日本の国益を確実に損なう行動であり、日本は毅然とした態度で対中外交、通商に臨まなければいけない。本書は安易な日中友好論よりも、ずっと真剣に日本の国益と将来の日中関係を考えた本であり、一読の価値があると思う。


異形の大国 中国―彼らに心を許してはならない/櫻井 よしこ
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