ビジネスマンのためのクオリティ・リーディング 三輪裕範 | So-Hot-Books (So-Hotな読書記録)

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書評と読書感想文の中間の読書日記。最近は中国で仕事をしているので、中国関連本とビジネス関連本が主体。

<Memo>


●多読(quantity reading)よりも精読(quality reading)を

最近、メディアで「読書の達人」と評されている人々の読書量は1ヶ月50冊~100冊であることが多い。しかし、一般のビジネスマンにとっては年間40~50冊程度の本を厳選した上で丹念に精読していくほうが有益である。何事にも「即効性」が求められる現代だからこそ、逆に物事を腰を据えて考え、本質を見極めることを要求するような読書が、土台のしっかりした論理的思考ができる視野の広い人間を育てるという意味でその重要性がますます高まっている。


●年間600時間勉強法

(平日1日1時間×5日+土曜日3時間+日曜日3時間)×52週(1年)+祝日3時間×15日=617時間


●フォーク型読書法のすすめ

横に広げたテーマの中から特定のものを選んで、それを縦に深く掘っていく「T字型読書法」がある。これに留まることなく、フォーク型のように、「T字型読書法」によって深く掘り下げたテーマ分野を、常に3つ4つ持っておくということ。


●良い本を探すために「三八ツ」を活用する

「三八ツ」とは新聞の紙面の三段八分割分を使った書籍用の広告欄のこと。この欄に広告を出す本には、広告元の中小出版社が自社の命運を賭けるような自信作を多く載せてくる傾向がある。つまり、ここには良書が紹介されている可能性が高いということである。


●「適時適書」・「適法適書」

時間には「まとまった時間」と「スキマ時間」の2種類がある。時間の種類に応じて読む本の種類を変えることを「適時適書」と呼ぶ。又、本の種類(①お手軽系・雑学系②新書・文庫系③学術文庫系④一般書⑤専門書)に応じて読み方を変えることを「適法適書」と呼ぶ。


●フランシス・ベーコンの言葉

「ある本はその味を試み、ある本は呑み込み、少数のある本はよく噛んで消化すべきである」と言ったと伝えられているが、まさにベーコンの言う「少数の消化すべき本」を見つけ出すことこそが「クオリティリーディング」の究極の目標であると言える。


●読書ノート作成の際のルール

①書き写す文章は10箇所程度に厳選する
②魅力的な見出しをつける
③読んだ本はできるだけ早めに書き写す
④テーマが決まるまではノートを作らない


<My Opinion>

書店に行けば、俗に言う「ハウツー本」が平積みになっている。私はこれらの本から仕事に役立つヒントや小ネタを収集することが大好きである。実務に役立つことが多いからだ。しかし、これらの本が自らの知的バックボーンとなることはない。自身の思考の核を形成するような本は古典的名著であったり、専門書(その中でも特に著者の哲学が感じられるもの)であったりすることがほとんどだ。そしてそれらの本は決して手軽には読むことはできない。そのような「良本」に出会ったときこそ生きてくるのが精読する技術、難解な本を読む為の知的腕力である。「読書力」の本質は速読力でもなく多読力でもなく、内容の詰まった本を理解し自身の糧にしていける「精読力」なのだと思う。


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