ある男が何の気なしにサイトを飛び回っているとあるサイトに行き着いた。黒い背景と赤地にenterの黒い文字があるだけのいかにもなサイトだった。普段なら入らないような怪しげな入口マークを何の気なしにクリックした。
よくある3Dのシューティングゲームだ。

プレイヤー側はヘリコプターの操縦席でメーターや何やらいっぱいあって地上のヒットポイントゲージ(以下HP)のある人間を撃つというものだった。
人間以外にも地上の自動車やバスなど乗れそうなものにもHPがあった。小さく見えるものほど高得点で夢中になって撃ち落とした。オプションボタンを押すと地上と上空に切り替えできるようになっていた。
私は目の前の車にミサイルを飛ばして爆発させた。直後、地上に切り替えてバイクにまたがってバスに突っ込んだ。
とたんに出た「ゲームオーバー」の赤い文字。
なんだ、終わっちゃった、とサイトを抜けようと右上にある×で消そうとした。
ないのだ、×なんて。
というか
サイトなんかじゃなかったんだ。

自分から流れ出る赤黒い血、だんだんと冷たくなっていく体、意識が遠くなっていく…。
ふと目が覚めた。左上に残機×1の文字。妙にリアルな体験をした私は気付いた。これはやはりシューティングゲームでリアリティーを追求した「ゲーム」なんだと。目の前には「continue」と「おわる」の選択肢。怖くておわるはおせなかった。
continueすると地上でバイクが突っ込むところで操作はできず、意識を失った。前と同じような死に方だった。残機×0になった。

真っ暗になって撃ち落としたものの総数と得点が出て画面が切り替わり何万人もの名前が出た。

名前の後ろにはカッコ書きで2桁の数字。
年齢と気付いたのは数分後。私は倒れた私を見下ろしていた。

あのとき私は死んだのだ間違いなく。
あきらめているとスタッフロールが流れ始めた。

驚いた。
制作、監督、他すべてが自分の名前だった。


ここで目が覚めた。一部始終が夢だったのだろうか?
しかし、サイトの画面は映していた。倒れた自分と総監督の名前。
名前はもちろん自分の名前…。

男の運命やいかに!?