あれは何年前の夏だったろうか……
気持ちがイライラと荒れていた。
いたたまれなくなって僕は家を出た。
あてもなく東へ東へと向かっていた。
車で200kmくらい走った頃、イライラしていたことがとても馬鹿馬鹿しく思えてきた。
そうすると急に腹が減ってきた。
夜も遅くに道東の小さな町に、開いている店なんかほとんどないが、ポツンと開いている拉麺店を見つけた。
店に入ると失礼ながら、不釣り合いな洋楽が流れていた。
そのうち曲はThe Beatlesの「I Will」に……
僕は中学生の頃、初めてBeatlesを聴いた時から、引き込まれるものがあり、貪るように聴き始めた。
でも大人になると、Beatlesを聴く機会は確実に減っていった。
「I Will」はポールが結婚する前のリンダに愛を捧げた曲。
その美しいメロディは個人的には大好きな曲であるが、数あるBeatlsのヒット曲の中では「I Will」は代表曲ではない。
よってテレビやラジオから偶然流れてくることも殆どない……
中学生以来聴いた、その2分にも満たない曲は僕を心底震わせた……
今日僕は、偶然にReneé Dominique さんがカバーした「I Will」を聴いた。
彼女がどのような思いで歌っているのかは知る由もないが、ジェネレーションの違う彼女の歌声や感情に、時代を越えるものを感じた。
たぶん彼女はプロでもない。画像は自撮だ。
今度は……
道東の拉麺店で聴いて心が震えた事。
中学生の刹那な自分。
2つの記憶や感情が入り交じって、
もう一度心が震えた……
The Beatles (Ukulele Cover)
Reneé Dominique
I Will ⬅聴いてください