黒田小学校の青看があり、何気なく向かった。
それはいつ設置された看板だったのか……
小学校はすでに廃校になっていた。
二次利用されているようで荒れ果てた感じはしなかったものの、何とも言えない淋しい感情が心に沁みた。
学校の前には小さなグラウンドがあった。
今は長い雑草が生い茂って荒れている。
しゃがんで子ども目線になると、子ども達の笑い声が聞こえてくる……
今は風の音と木々のざわめきしか聞こえない。
都会では見ることが出来なくなった、大きな蝶がひらひらと舞っている。
僕は子ども目線で暫くそこに佇んだ。
学校が無くなるというのは悲しいものだ……
今は僕の入学した中学校もなければ高校の校舎もない。
中学校は直ぐ横に太平洋が見え鉄道があった。
当時からその古い校舎が好きだった……
留寿都村……
縁もゆかりもないが、昔の自分を振り返る時間になった……
心の中の心象風景は何にも変えがたい宝物……
1995年 留寿都村立黒田小学校廃校