中小企業の銀行融資・獲得法講座|30日で希望額を申請

中小企業の銀行融資・獲得法講座|30日で希望額を申請

最短1ヶ月で希望額の銀行融資を申請する3つのステップ|銀行で23年、法人融資を担当した元銀行マンが教える秘策|銀行融資獲得アドバイザー、ファイナンシャルプランナー小栁幸彦|業績低迷で資金繰りが悪化している中小企業に財務分析と融資獲得を支援

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【事例 №3 単価が厳しい金属加工業】

 

<業歴42年 制御盤、精密板金加工製造>

 

【現状把握】

・創業当時は町工場でありながら有力な大手企業の下請け業者としてある程度の業績を維持してきた。

・業績好調な時期にも資金の蓄積や設備に十分な投資をすることなく流れにまかせた奔放な経営体質を続けてきた。

・リーマンショックを境に経営環境が激変、限られた発注に競合他社が群がる過当競争の中で極限まで単価が絞り込まれる状況に陥る。

・数か月間も役員報酬を棚上げにしなければならない程資金繰りは圧迫しまさしく切羽詰まった状態である。

 

【経営課題】

・経営者としては正当な利益を確保できる売り上げを獲得したいが発注先は価格交渉が出来るような相手ではない。

・長年付き合いのある企業の担当者から信頼関係で仕事を回してもらいながら凌いでいるが量的、価格的に未充足である。

・時間を見つけては新規開拓の営業を行うも目ぼしい相手は見つからず、たまに入る情報も信用上の問題があるような先ばかり。

・とっくに償却期間が経過した機械をメンテしながら使用しており、最新ではないにしろ相応の機械への切り替えが可能なら状況を改善できるだろうが現状においては困難。

 

【取組内容】

・経営陣の課題を聞いた時点でどこにも打開策が見いだせないまさに八方ふさがりのお手上げ状態。

 (既に経費見直し、人員整理、機械売却など打てる手は実行済みである)

・事業の立て直しは経営者がその手段と実行に係る期間及び必要な資金について算定しスケジュールと照らして検討するがそのどれも算段出来ない。

・それでも社長の悩みである資金繰り環境を安定させるべく銀行融資の取組方法を検討。

・信用分散の考え方により3つの資金の出し手について検討。一つは信用保証協会の保証、もう一つは政策公庫による資金、そして銀行のプロパー資金と各々の実績範囲を超えない金額で資金繰り支援策をまとめ、交渉し応諾が得られたため当面の資金安定化を実現。

 

【実績と効果】

・経営陣が金策に走る事無く状況改善のために活動する時間が得られた。

 

【その他】

・本件は融資実行してからおよそ1年で資金繰りに行き詰まり破産申請に至る。そしてその半年後に裁判所の免責が認められた。

・経営者と最後に会った際「手を尽くしてもらいありがたかった」と言われた。また今までお世話になった方々になるべく迷惑を掛けずに終わらせたかったが力及ばず気付いた時には何も残っていなかったとの事であった。

・顧客企業が破綻した以上、本件は成功事例とは言い難い。しかし経営の現場においてはしばしば努力ではどうにもならない場合がある。

・担当として顧客が追い込まれた時に何が出来るかという中で出した結論が一時であっても経営者が資金繰りに追われる時間を回避し、何らかの打開案を得られた可能性もあったのではないか、と思いたい。

 

                                                              <以上ケース№3>

【事例 №2 設備負担が重い歯科医院】

 

<業歴10年 どこの町にもありそうな普通の歯医者さん>

 

【現状把握】

・土地をはじめとする初期投資のほぼ全額を銀行からの借り入れに頼っている。

・地域は隣接する大都市のベッドタウンとして一時は人口増加するも、最近10年は漸減傾向で高齢化と虫歯人口の減少に伴い患者数も頭打ち状態。

・域内の歯科医院数は全国平均を上回っており患者による選別が激化。

 

【経営課題】

・院長の悩みは開業時の設備融資を比較的短い返済期間で取り組んだため業況が右肩下がりの状況下において資金繰りが窮屈になってきていること。

・土地や建物を始め医療用設備に借り入れた額は2億円近く、だが返済条件の変更は行わずこのまま完済まで頑張りたい意向。

・但し資金繰りを安定させる手立てを講じなければ、老朽化した設備の改修もままならず患者離れを引き起こし兼ねない。

・顧問税理士は「借り入れをすれば」という単純な反応で今一つ物足りなさを感じている。

 

【取組内容】

・院長に拒絶されることを覚悟の上で、返済中の融資を借り換えるか条件変更による資金繰り安定化について打診するもキッパリ拒否された(笑)。

・次に、資金繰り手当て目的で長期資金を調達するやり方を提案。

但しこれは長期的に見て資金繰りを圧迫する可能性を秘めておりそうならないために一定のルールを設定した。

・ルールの基に今後の総債務額の変遷を表とグラフにまとめて院長にはこのシミュレーションを上回る実績を実現すれば業績向上し資金繰りが安定する事を説明。

・また同時に院長やスタッフの人柄や医院の雰囲気が伝わるようなホームページの開設を提案。

 

【実績と効果】

・融資の必要性と返済計画を表やグラフにまとめて理解しやすくした事と一定の目標を示したことで具体的なやる気に繋がると院長から好評を得た。

・これまで経営に積極的でなかった院長夫人も、融資の経緯と今後の計画を説明し理解が進んだことで面白さが加わり意識改革に繋がった。

・本件後しばらくして、院内の痛んでいた数か所の改修とHP開設が実行された。

 

                                (以上ケース№2)

【事例 №1 財務資料のないレストラン】

 

<業歴6年、客席数20>

 

【現状把握】

・客席数20名のイタリアンレストラン。オーナーシェフ1名、バイト2名。

・店主は独身で事業拡大の意向がなく、顧問税理士もおらず経理は

自分で対応。

・開店当初の設備資金として調達したビジネスローンやカードローンに

対する利息負担が資金繰りに影響を及ぼしていた。

・経理処理はノートを出納帳代わりにして日々の入出金を記録。

(確定申告と出納帳はぴったり整合することを確認)

・一般的な財務資料が存在しない事から店主は銀行融資の利用を諦

めていた。

・借入のうち、カードローン利用枠を資金繰りにも利用しており反復利

用が常態化。

常時利用できる気安さから一定額以上の残額が定着し一向に減らな

い状況が続いている。

 

【経営課題】

・ビジネスローンやカードローンを早期に完済し利息負担を減らした

い。

・一般的な事業性融資でビジネスローン等を借り換える事が出来れば

支払利息に悩まされないで済むと思うが財務資料が用意出来ない。

・毎月の支払いが落ち着き資金繰りが安定すれば精神的な負担も軽く

なると思う。

 

【取組内容】

・出納帳と申告書の年間データを別紙にまとめCF推移を一覧表に整

理。

・出納帳の有効性は申告書の数字と店舗稼働状況及びCF推移を用

いることで蓋然性を確認。

・規格に基づく財務資料がなくとも十分な事業実態と客観性は証明で

きると判断。

・現状の高利による借入金を低利の銀行融資で借り換えると同時に若

干の運転資金を調達することに成功。

 

【実績と効果】

・新しく借り入れた資金は借入期間を長期で取り組み利息を含めた毎

月の返済負担額の軽減を実現。

・毎月の支払いに追われていた従前に比べ資金繰りが安定することで精神的にも落ち着いた。

・何より、本件を通じ銀行融資取引を開始出来た事が店主にとって今後の財産になった。

 

                              <以上 ケース№1>

<兵法の基本1、まずは相手を知る>

相手とは「銀行」つまり「銀行を知ること」です。

ここでの「銀行を知る」とは、銀行内で行われる手続きと担当者の役割です。

それは、銀行にいた人しか知らないインサイドの情報です。

 

特に担当の役割は、銀行内におけるポジションや肩書だけでは計り知れません。それは当人の能力や技能が深く関与しており、同じ営業店の融資担当者で肩書も同じなら任される仕事も同じかと言うと全然違います。つまり人によって任される仕事と量、更には上席の対応さえ違います。

 

敢えてはっきり言いますが、仕事の上での差別化です。

そうすることで銀行は少人数で複雑化、高度化した銀行業務をより効率的に効果的に運営して行く戦略なのです。

 

では、あなたがいざ融資の必要性が生じた場合どうしますか?

それは、①融資担当者に相談、②必要な資料を整え銀行に提出、③担当者が稟議書を作成、④決裁が降りたら契約書を作成。その後めでたく融資金がお手元に振り込まれる・・・というのがおおまかな流れです。

 

上記の①~④の重要度を数値化してみます。

(合計が10になるように)そうしますと以下のようになります。

①1、②3、③5、④1・・・です。

案件により外部保証を利用する際は、③の手間が増えますが、ポイントは担当が稟議書を作成する段階が最も重要でそこでの時間を素早くこなすことが早くまたスムーズに資金調達が可能になるコツと言えます。

 

③と言えば銀行の担当者が稟議書を作成する段階、ですからお客様でコントロール出来ないから銀行に任せるしかないじゃないか?と思われた方、本当にそうですか?

もう一度手続きの流れを頭の中でシミュレーションしてみて下さい。

そうすることで、あなたがとるべき行動要件が見えてきませんか?

 

 

<兵法の基本2、己を知る>

銀行に融資申込を行い相当時間が経過した後、何故か再度基本的な情報に関する質問や資料提出を求められた、というご経験がありませんか?

例えば「この設備投資を実行した場合、期待できる効果は?」とか「御社の最大の強みは何ですか?」・・・等、また場合によっては同様の事が繰り返される・・・

 

何故今更そんな事?と思わずため息が漏れそうになりながらも、融資承認を早く得たい「弱み」も手伝い、疑問を感じつつも応じると言うのが現実でしょう。

 

これが、担当の能力や技能によって大きく違う部分です。

つまり先ほど出てきた③の中の稟議書というツールを使って担当者がお客様の情報を正しくスムーズにトスアップ出来るかが重要です。

 

でも、銀行の担当はお客様で決められないし、そもそも誰が優秀かなんて分からないですよね。

優秀な人材とは学生時分の成績よりもむしろ銀行に入社して以降、しっかり勉強し実社会で役に立つ知識と技能を自ら身に付ける努力を継続して行く人です。

 

そのような人材は今や一握りの存在になりつつあります。そして現在の担当者が優秀だったとしてもいずれはその人も異動しその後任が前任者と変わらない力量を持った優秀な人とは限りません。

場合によっては誰が担当者か良く分からないという由々しき事態も・・・

 

・・・ならばどうするか?

そこで大切になってくるのが「自社の現状を正確に伝える技術」です。そしてこれこそがあなたが「とるべき行動要件」なのです。自社の現状と融資の目的について②における提出資料を工夫することで、③の担当者が稟議書を作成、が飛躍的に進捗する結果に繋がります。

また、そのためには「自社の深堀り」が必要になります、これが「己を知る」です。自社を理解し正確に相手に伝えるには日頃からその事を意識した活動をしておく必要があります。

 

そして、それがきちんと身に付いていれば、初めて会う銀行の担当者にも自社の事や融資の目的と内容についてスムーズに伝わりその後の手続きも自然に流れて行くようになります。

 

やがてそれが当たり前のようになれば銀行から見たあなたの評価も変わる事になるでしょう。