今日は電撃リトルリーグの締切日だったんですが、受験だの卒業だので忙しかったので全く時間がとれず、今日急ピッチで製作したもののむっちゃくちゃな出来になってしまいました。一番伝えたい部分が伝えきれてません、てなわけでどうぞ。
咲くよ、咲くよ、サクラが咲くよ、今年もたくさん蕾が付いた、だけどもだけど、ほんとに咲くの……??
「はぁ、またですか……」
さり気に自分の役目を放棄してへちゃむくれるのはこの地に生まれて御年九百歳、この寂れた神社を守る女神様、ミコト様だ。まあこの名、『○○ちゃん』ぐらいの意味しか無い事からも分かるように俺が適当に読んでいるものであって、本当の名は以前神社が全焼したお陰で迷宮入りしている。
神は人を超えていながら人により生み出される存在、ゆえに人間界にその名残がなくなると名前も消失するのである(ちなみに俺はカムナと呼ばれてます)。
「さっきのお願いか?『受験に合格できますように』って、立派な願い事じゃないか」
「あの人、願う気持ちがまるで無いんですけど……そんなだからほら」
彼女はジャンプして神社に植えられた大きな桜の木にふわりと座ると、一つの蕾を指ではじく。蕾は静かに鈴のような音を鳴らし、軽く震えた。
「蕾は人間の願いが生み出す結晶、ただ、願われるだけ願われて見捨てられた願いは咲く前に枯れ落ちる、だな」
「みんな勝手にお願いしすぎなんです、こうして蕾のまま願い事は散っていくというのに……」
毎年繰り返されてきた繰り言、咲けずに散ってしまうなら、いっそ生まれてこなければいいのにと彼女は涙なく泣く。二人で何度も見てきた光景、あまりに同じことの繰り返しが続きすぎて、その静止画を年代順に並べることなど叶わない。
ついたよ、ついたよ、蕾がついた。だけどほんとに咲くのかな?
「あ、また来たみたいだけど……」
「はぁ……うん?」
珍しくミコトが興味を示す。一人はヘタレな男の子、もう一人は勝気そうな瞳をした短髪の女の子。たわいない話をしながら歩いてくる、知り合いらしい。口げんかに聞こえないでもないが、そのやりとり、仲いいんだな。
「だから神頼みってわけ?そんな暇あるなら勉強しろ勉強」
「別に良いだろ、こんな神でも祈らないよか」「ストップ、何だその大槌(てかハンマー)は」
「だって、だってだってぇ!!!」
「いいからやめろ、お前には年上の余裕というもんがないのかよ」
とりあえず少女の容姿でそれはまずいと(いや他にも色々理由はあるんだけど)ハンマーを下げさせ、見込みある二人に俺は光のベールをかける。
この行為には願いをかなえる力などない、だけど、それを言うならお願いごとなんてはなから無意味なものであって、信じるからこそ何かが変わるのだ。
ほら、また蕾が二つ。
(俺はもちろんだけど、どうかこの気合いと根性でどうにかしようってな無邪気でやんちゃな幼馴染も……)
(私はもちろんながら、このやる気の空回りしたどこかほっとけない幼馴染も……)
「「二人一緒に合格できますよう……ってえええっ!!!?」」
「何してんだよお前、心の声駄々漏れだっての」
「それはあんただって同じでしょうが!」
「「……………」」
長い沈黙。それを破るように、一陣の風。
「……ま、まあそう言う事で。せっかく同じ大学なんだし、片方落ちたら何か寝覚め悪いし」
「そ、そうだよな……じゃ、また」
二人のやりとりは何だかぎこちない、そりゃそうだ、自分の心の声がどこまで聞かれていたか本当の所二人は分かっていないのだから。
「カムナ君、またそゆことをやる」
「むくれるなよ、ミコト。あれだけ頑張ってるオーラを感じる奴らだ、少し押してやるくらい許容範囲」
「だけど……」
さっき俺がやったのは心の声を透かす特殊な術。一応人の人生に強烈に干渉する術を人間に使うのは処罰ものだけど、この件に関しては大丈夫なはず。俺は何もしちゃいないから。
何かを為すのはいつだって強い思いを持っている者、見えそうで見えないゴールをあると信じて突き進む者だ。
「……はっ!」
「いや別にいいんだけどね?この神社中の花びらが激しく舞ってても、俺が掃除すりゃいいんだし。別に本来この神社を守護する神様がうたた寝ってたって誰も何も悲しまな」
「ああもう分かった!!ごめんなさいうっかり寝たりして!」
「分かればいいのだよ、ほら、こんなものが」
俺が指さした先にあったもの、それは小さな桜もち、それに加えてあの時の二人の写真。男の子に抱きつく女の子は無邪気で、抱きつかれる男の子は困り顔だけどまんざらそうでもない。そして……
「あ、咲いてる……」
「願う気持ちが蕾をつける、それを叶えたいと思い続ける気持ちが花を咲かせるんだよ」
「うん、だからかな、とっても綺麗だね」
「さてと、こんな暖かい日には甘い桜もちを腐る前に食べるが吉かと。」
「あ、緑茶入れてくれたの?ありがとう、カムナ君」
大事におかれた桜もちを大事そうに口に入れ、俺の用意したお茶で喉を潤す。「はぁ~、美味しい~」と頬を緩めてだらけきっている九百歳。お、また桜が咲いた。『好きな人に未来永劫笑っててもらえるように』、そんなに願うのは何処の誰やら。
明日卒業かよ……大学落ちてたら卒業取り消しとかなったらいいのに。