東京駅から八重洲の地下街を抜けて地上に出た時、まだ大型台風の雨は本降りになる前でした。
折畳み傘を広げ、私は今日初めて会った女性とアルスノバへと向かいます。

彼女がお店に事前に電話しておいてくれたので、台風の中ようこそ!と迎え入れていただけました。

そして前述のセミナー帰りの為、2人とも大量の靴をスーツケースいっぱいに持っていたので、大荷物にビックリされました。

軽くご挨拶をして私はしばらく彼女とご主人のやりとりを黙って見守っていました。
どうやらアルスノバの中でも、彼女は最も幅狭顧客の部類らしく、最近幅狭足のお客様のご来店が特に増えたので彼女の足をベースに微修正している…との事。

幅狭足の持ち主が増えただけでなく、このお店に幅狭客が増えたのは、きっと私が読んだブログの方々のお陰。
お会いした事はないけれど、感謝してもしきれない…


ここへ来る道中、確か彼女はボール位置と踵がまだ微妙にあわないと話してくれていました。

そんな彼女よりも踵が小さいと、つい先程までいたセミナー会場で言われた私は、もしかして最後の砦と思っていたアルスノバでオーダーしたとしても、踵のフィット感は得られないのか…そんな事をぼーっと考えていました。

彼女が今日は時間もないので購入意思が無い事、短時間だが木型の進捗具合を確認しに来ただけな事と告げると、ご主人の意識が私の方へ向いてきました。
入店時にも足元をチェックされていたけれど、コメントしづらそうなお顔をなさっています。
しばらく沈黙の時間が流れました…

そりゃそうです。
革靴屋さんに行くのに、その日私は珍しくパトリックのマラソンを履いていたんです。
理由は大型台風が近づく中、スーツケースをひいていたから…

大雨の中、オーダーした革靴は履きたくない。
そして何故かスーツケースでよく自分の足をひいてしまうから、スーツケースを持ち歩く際は、出来るだけ高価な靴は履きたくない…

更にその日、台風が近づいておらず、しかも彼女に出逢わなければ、私は三茶スニーカーでパトリックの他のシリーズを探すつもりだったから。

でもそんな事はご主人には関係なく…
多分、あんな厚底のスニーカーを履いていた私の事を、本気で革靴を欲している客だとは思って貰えないだろう事を、ご主人から醸し出される空気で感じ取りました…

私はそんな沈黙を破る為に話し始めながら、まず椅子に座らせてもらって、スニーカーを脱ぎ、笠原式三本指ソックスを脱いだ途端、まずそこでご主人からのチェックが…

珍しい靴下をお履きですね。五本指でなく…。

即座に私は「はい!ここ数年、開帳足が進行しない様に、内反小趾が悪化し、外反母趾にならない様に、スニーカーの時はこの三本指ソックスを。そして冬場は三本指タイツを履いています!」と意気揚々と答えたんですが…

足に気を使っているのは理解して貰えた様でした。でも返って来た言葉に唖然…

ダメです!三本指は初めて見たし良く知らないけれど、五本指ソックスはますます開帳足になります。
こういったお足の方は、五本指ソックスを履いてはいけません…と。

え⁈ そうなの⁇
五本指ソックス、指がのびのびするし、足指使えてる感覚するし、何より、歩き回ったりする日は疲れにくいけどな…

その経験から三本指ソックスは更に動物の足指の理論的に基づいていて納得したし、何より中足骨あたりのサポートが気持ちいいから、絶対足にいいと思ってたけど…(^^;;

こういったお足…の意味が未だに確認出来ていないけれど、どうやらご主人の信念に反する靴下である事はわかりました。

ここで靴下論議をしても仕方ないし、私が履き続けるかどうかは後日ゆっくり考えよう…と、へぇ〜そうなんですね〜、足にいいと思ってました〜と言って、話を終えようとすると。

五本指ソックスは開帳足を促進します!と念を押されました…笑。

つづく。
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