『二人の舌には果物のみが持つ清々しい味が残っていた。何の不満足もない瞬間だった。』


水上滝太郎『果樹』より



紹介で結婚した少しぎこちない新婚夫婦が、引っ越しを切っ掛けに相手を知って行く物語。基本的には妻・おとき視点で進行します。お寺の奥さんとのあれこれが、時代は変わってもこういった事は変わらないんだなと苦笑いしてしまいました。

信吉が湯屋からの帰り道、仕事の疲れと空腹をしみじみ感じている時に家のあかりを見た時の喜び、こんなささやかながら幸福に溢れた描写がとっても好きです。

終始新婚さんの惚気を聞いている気分になりました。かわいい。




今回作ったのは初茸御飯の夫婦お結びと柿白玉。あしらいは柿の葉です。

初茸が手に入ったので作ってみました。初めて食べたのですが美味しい出汁が出るのですね。下茹での時から良い香りが。