先日シェルターに行って以来、まるを迎えた
当時の事を、よく思い出す。
まるは、推定生後10週間で我が家にやってきた。
シェルターにいたたくさんの子猫達の中で
一際大きく、怖がって部屋の隅に固まる
子猫達でできた山の一番上に乗り、
更にどこかへ一生懸命
逃げようとしていた。
もともと茶トラが好きな私達は、
一目見てまるが好きになってしまった。
しかし、怖がる一方のまるは、あらゆる場所に
隠れてしまい、撫でる事はおろか、じっくり
観察もできない。
その日は土曜日だったので、たくさんの人が
シェルターを訪れていた。
まるをかわいいと思った人もたくさん
いたと思うけど、臆病な性格が災いしたのか
私達には幸運な事に、私達が悩んでいる間に
まるを連れて帰る人はいなかった。
家に着いて箱から出すと、まるはソファの下に
一目散に逃げ、長い間出て来なかった。
見える所にカリカリを置き、時々様子を
見るうちに夜になるも、まるが出て来る
様子はない。
シェルターのスタッフが言っていた通り、
この子は筋金入りの怖がりなんだ。
うちでは幸せになれないのかな…
今日のところは、もうどうにもできない…
寂しい気持ちで寝室に向かったその時、
まるは突然姿を現し、ベッドに飛び乗ってきた。
しっぽをピン!とさせて。
まると家族になれた瞬間だった。
あの時、まるはどんな気持ちだったんだろう。
半日以上隠れて過ごし、新しい家の匂いを嗅ぎ、
そこに住むニンゲンの匂いを嗅ぎ、声を聞き、
姿を見て、この家なら住んでも良いかと
思ってくれたのなら嬉しい。
15年経っても鮮明に思い出す、まるとの初日。