洋介の前には、幾重にも重なるように、岬の「洞窟」や「洞穴」の
「情景」が時空を超えて現れては消えて行った。
その瞳はカッと見開かれたまま、閉じる事は許されなかった。
洋介には、それらの「情景」の一つひとつが、岬の「歴史」の真実
である、と思われた。
時代を超えて折り重なるように、今まさに展開して行く「情景」そ
のものが、岬の「洞窟」と「洞穴」の中の二組の男女によって、繰り
返されて行くことになる。。。
抗うことの出来ない「力」によって、そう深く「了解」させられていた。
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大いなる「力」は、
海の底から湧きあがるように岬へと接近すると、
崖下の「洞窟」から、「水の道」を通って一気に山の峰に向かい、
その「思い」を遂げようとしていた。。。
――ウミは「森」を恋求めていた――