「教室の怖い噂」
辻村深月さん、近藤史恵さん、澤村伊智さんの短編小説が入った児童書です。
私は辻村深月さんの本が好きなので、それに惹かれ読み始めました。
辻村さんの短編は「踊り場の花子」というタイトルで、以前読んだことがあるものだったので、辻村さんのハードカバー本のどこかに入っていたものと思われます。
一番好きなのはやっぱり辻村さんでした!
主人公目線で描かれている最初の場面では怖い要素はなく、しかしストーリーがしっかりしているので読み進めていくのが楽しい。
どういう展開になるのかな?と思っていたところで、だんだんと雲行きが怪しくなってくる。
主人公目線で描かれていると、その人物に感情移入しながら読んでいくので、無意識に悪い人ではないという先入観で見てしまう。でも、もしや…?という疑いから事態は急展開していき、冒頭のシーンの意味がはっきりする。
私が素晴らしいと思ったのは、だんだんと、本当にに徐々に、主人公に暗雲が立ち込めてくる描写です。初めはカラッと晴れた、蒸し暑い夏の日だったはずなのに、途中から曇り始め、暗くなり、なにか引きずりこまれていくような、あのホラーの世界に気がつけば立っている。人間と話していたはずなのに。さっきまで現実世界にいたはずなのに。
この物語は、オカルト的なホラーと、人間の気持ちの悪さから来る怖さが綯い交ぜになっている。
私はこの話を読んだ後、主人公に対する気持ちの悪さと、ざまあみろという気持ち、花子さんに対するもっとやれ、よくやったぞという気持ちでした。
なかなか幽霊側に共感する話は読んだことが有りませんでしたが、絶妙な後味の悪さと、ストーリーが全て繋がったときのハッとする感じは、やはり辻村さんの描く本が好きだなあと改めて感じさせられました。
近藤史恵さんの「ピアノの怪」、
澤村伊智さんの「夢の行き先」は、うん、確かに怖いけど、オチらしいオチがなく、ただ怖いだけという印象でした。
やはり私は、ホラーであっても謎が謎のままで終わらず、ハッとさせられる、気づきがある瞬間があるような本が好きなのでしょう。