「渋谷、動く」

 

◯ビデオカメラの液晶画面

  黒い何も写っていない画面

金髪男の声「3、2、1、スタート」

 

◯渋谷川遊歩道

  金髪男(25)、ハンディカメラで撮影中。緑髪男(30)がそのカメラに手を振る。

  二人、川沿いの道を歩く。

緑髪男「(カメラに向かって)さて今日も始まりました、緑髪男の都市伝説チャンネル!今日はここ、渋谷駅でビッグな都市伝説の検証を行います!」

金髪「いや、なかなか渋谷らしくない地味な川からお送りしてますけど?」

緑髪「そうね。金髪君、川って言ったら何を思い浮かべる?」

金髪「え?まあ都市伝説界的に言うと古代文明?かな?」

緑髪「そう!川があることは文明が発生する条件だよね?つまり、川は産むんですよ」

金髪「何を?」

緑髪「さあね?」

 

◯モヤイ像

  スマホを見ながら待ち合わせをしている人も数人いる。

  ゆっくりとモヤイ像の首が地面から現れていき、高さが変わっているが、誰も気づかない。

 

◯スクランブルスクエアと渋谷ストリーム間の通路

  通路の壁の模様が恐竜の歯のように見える。金髪と緑髪、撮影しながら歩いている。

緑髪「(話の続きという風で)その霊感の強い友達Aくんがね、渋谷駅にくると大きい生物の気配を感じるって言うんですよ」

 

◯渋谷駅東口地下通路

  緑髪と金髪、エスカレーターの前を通る。

緑髪「最近は今まで感じなかった、呼吸音が聞こえるらしいよ」

金髪「その友達、シンプルにやばいですね」

緑髪「(笑いながら)いやAくんは本当に霊感あ…」

  緑髪が目線を、ハッとしたように周りを見やる。

  ゴゴゴという音が聞こえる。

緑髪「何?この音」

金髪「揺れて…あっ」

  地面が90度縦に回転し、金髪がカメラを落とす。

 

◯渋谷橋

  無人の橋の上から見た渋谷駅方向。

  ビルが倒れていく。

  地響きの最中に、人間の悲鳴も漏れ聞こえる。

  しばらくして、地下から恐竜のような巨大生物が立ち上がる。胴体は駅の地下通路、スクエアとストリームの間の通路は口にな        っている。

巨大生物「ふああーーよく寝た」

  巨大生物、大きく伸びをする。

 

◯スクランブル交差点

  巨大生物の隣に、立像になったモヤイ像が並ぶ。

モヤイ像「久々の目覚めだけど何かしたいことある?」

  巨大生物、自分の口に手を突っ込んで、ハンディカメラを取り出す。

巨大生物「ユーチューバーデビューしよう」

モヤイ像「いいね」

巨大生物「(手が大きすぎて黒い画面のままのカメラを持って)3、2、1、スタート」