日本共産党島根県江津市委員会が発行する「ごうつ民報NO.2658」に掲載した文章を、こちらにも転載します。
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「外国人犯罪が増えているから、規制すべきだ」「外国人が日本人の就職先を侵食している」と、参政党など一部の国政政党が主張し、いわゆる「排外主義」が先進諸国も含め広く流布されています。
事実関係を、公的資料を基に調べるとともに、日本共産党の考え方についてまとめました。
外国人犯罪は減っている
法務省が毎年まとめている「令和6年版犯罪白書」によると、外国人による刑法犯の検挙件数は平成17年(2005年)がピークで4万3622件だったのが、令和5年は1万5541件となっています。前年比で増える年もありますが、全体として減少傾向で推移しています。
検挙された犯罪事実は、来日外国人の検挙1万40件のうち、窃盗が61.2%、暴行傷害が12.5%、詐欺6.4%などで、これらで全体の8割を占めています。
犯罪白書の「来日外国人」と、出入国在留管理庁の「外国人入国者数」は、集計方法が異なりますが、日本を訪れる外国人は年々増加している(2005年は745万人、2024年は3678万人)ので、犯罪が1万件前後とすれば、外国人の犯罪率は減少傾向にあるといえます。
外国人労働者の数
外国人が日本で就労した場合、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」に基づき、すべての事業主に対して外国人の雇入れ・離職時に、氏名、在留資格、在留期間等を確認し、ハローワークへ届け出ることを義務づけています。
外国人労働者は、2024年は230万人で、10年間で3倍に増えています。
国籍は、ベトナムが24.8%、中国17.8%、フィリピン10.7%、以降ネパール、インドネシア、ブラジル、ミャンマーと続きここまでで8割となります。
在留資格別では、「専門的技術的分野の在留資格」31.2%、配偶者や定住者等「身分に基づく」が27.3%、「技能実習」20.4%、留学や家族滞在など「資格外」が17.3%となっています。
低賃金が多い外国人労働者
厚生労働省が調査している「令和6年賃金構造基本統計」によれば、外国人労働者の平均年齢は32.8歳で、「きまって支給する現金給与額」は275.5千円に対し、全労働者30~35歳の「~現金給与額」は299.5千円であり、外国人労働者が低賃金の仕事に就いていることがわかります。
賃金の底上げこそ。日本人も外国人も
低賃金労働を、外国人が担っている実態があります。これは30年以上賃上げがほとんど進まなかった日本の経済構造に問題があります。また勤労人口現象により、地域や産業によっては外国人労働者に頼らざるを得ない状況を変えていかなければなりません。
全ての人の基本的人権をまもる=日本共産党
憲法11条などにより、基本的人権の尊重がうたわれており、多くの国でも自国民だけでなく、在留外国人に対しても保障されると解されています。
2021年3月、名古屋出入国在留管理局での「ウィシュマさん死亡事件」での入管当局の不適切な対応が問題となりました。法律違反となった人に対する対応としても、問題だらけでした。
これまでの「技能実習制度」は、「研修」とは名ばかりの安価な労働力の供給手段とされ、強制労働、残業手当不払い、低賃金、強制貯金、高額の保証金や違約金等々、数々の人権侵害が続発しました。労働者としての権利はもちろん、基本的人権を尊重する対応が求められます。
また「外国人が日本の山林を買いあさっている」と不安を煽る情報も流されていますが、外国人に限らず「全ての投機的不動産取引の制限・禁止」が、水源地や自然を守ることにつながるのではないでしょうか。






